いまの日本にとって「貧困」とは

#不登校#行き渋り#貧困
 今回は、湯浅誠さん。NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の事務局長として野宿者支援を行なうなかで、反貧困のためのネットワーク構築にも力を入れている。現在の日本社会における貧困とは何か、うかがった。
 

――「貧困」という言葉を全面に出して活動されていますが。

 昨今、「格差」という言い方がよくされますが、これは相対的な言葉で、何でもちがいがあれば「格差がある」と言えるんですね。いまではその意味合いも薄まっていて、貧困とは無縁な場合にも用いられます。それに対して「貧困」という言葉は非常にストレートで、問題の所在がはっきりする言葉なのです。さらに、格差という言葉には価値観が伴っていません。たとえば、格差には善悪がないわけです。しかし貧困の場合、「あってはならない」という価値観が明確にあります。
 

――日本社会でいう貧困とは?

 日本では貧困といった場合、ホームレスの人たちを思い浮かべやすいかもしれませんね。
 
 しかし、一方で「好きであの生活をしている」とする考えもあり、彼らは貧困だと見なさず、支援対象と見なさない人たちも少なくありません。ある貧困観調査で、民生委員や児童相談所の職員などに「ホームレス状態は貧困ですか」という質問をしました。結果は「そう思う」と答えた人は25%、「そう思わない」と答えた人は37%いました。福祉職といわれる分野で仕事をしている人たちのなかにも、「ホームレス状態は貧困状態ではない」という認識があるのです。それはちょうど、フリーターという存在が社会的に注目されるようになったときの、「彼らは好きで企業に縛られない気軽な生き方をしている」というまなざしとおなじです。
 

――具体的に、どのような状況が貧困にあたるのでしょうか。

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