不登校・自己否定からの生き延び方 雨宮処凛

 400記念インタビュー第2弾は作家・雨宮処凛さん。「私も生きづらさを抱えている」と語る一方で、若者や貧困などの問題に長年取り組んできた。活動にかける思いなど、子ども若者編集部がうかがった。

子ども若者編集部・田子つぐみ(以下、田子)
 私は摂食障害やリストカットやオーバードーズなど、いろんなことに依存して生きてきました。雨宮さんの本を読むと、私と同じようにたくさんの依存をくり返してきたんじゃないかと感じたのですが。

雨宮処凛(以下、雨宮)
 わたしもずっと小さな依存をくり返してなんとか生きています。今は何に依存しているかというと、活動と書くこと。それはリストカットやオーバードーズよりも生産性があって、人に怒られないし、収入にもなっています(笑)。

 でもそれは全部自分のためにやっていることなんですね。「人のためにえらいね」と言われますけど、他人のためにはやっていません。結局は自分が「楽になりたい」「必要とされたい」そういう思いのみでやってますね。だから依存体質は昔から変わっていないんじゃないかな。

 ただ、親とか友だちとか恋人とか、依存対象を「人」にするのは危ないからやめたほうがいいというのは強く言いたいですけどね。

田子 どうやって生産性のある、よい依存に対象をシフトできたんですか?

雨宮 それは本当に偶然で、「本を出さないか」と言われたからですね。それまでも、ものを書いたりなにかを表現したりしていましたけど、どんなに表現してもだれにも認められなかったので、どんどん自分を否定していくという負のスパイラルのような状態でした。たまたま人に「本を書かない?」と言われたことで、以前と同じことをしていても、それが収入にもなり人とつながる手段にもなり、生きていくことにつながるんだな、と思いました。

子ども若者編集部・石崎森人(以下、石崎)
 僕も10代から20代のときにいろいろな活動をしていたんですが、僕はちょっと失敗したらすごく落ち込んで、身動きがとれなくなってしまうんです。雨宮さんも自己否定感が強かったのに、どうやって失敗を乗り越えてきたんですか?

雨宮 私はあきらめが早かったですね。中学でいじめられ、大学受験に2浪して、バイトはしょっちゅうクビ、バンド活動もダメ、右翼活動もダメで、全部が失敗だったんです(笑)。だから失敗したら、すぐ次のことをやるようにしていました。落ち込みはするんだけど、ダメージが少ないうちに意識的に次へ移るようにしてましたね。


さまようことが豊かさに通じる
 

茂手木涼岳(以下、茂手木)
 僕も依存体質で、少しでもなにか新しいものを求めていないと不安なんです。だけど同世代の同僚を見ていても、僕ほどなにかを求めているようには見えず、落ち着いている(笑)。僕だけまだ「さまよっているな」という感じなんですよ。

雨宮 わかりますね。私は今もむちゃくちゃさまよってますから(笑)。それはもう一生治らないというか、逆にそれが自分をすごく豊かにしていると思いますね。だって、いろんな表現や話に触れて、つねに勉強しているわけじゃないですか。だからプラスにとらえるようにしています。自分が常に新しいことに触れてないと、怖いですね。すごく不安というか焦燥感があります。

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