
子どもの不登校、夫婦の役割分担についての夫への感謝・要望・伝えたいこと【不登校と夫婦関係のアンケートから(5-2)】【調査報道】
ウェブメディア「不登校オンライン」は、2025年3月12日〜25日に、お子さんが不登校・行き渋りである(であった)保護者さまを対象に、「不登校の保護者の夫婦関係」についてのアンケートを実施しました。
不登校の子どもへの対応の、具体的な夫婦の役割分担については、次のような回答がありました。
妻の役割
- 学校との調整:49件(23.22%)
- 日常の食事や生活の世話など:49件(23.22%)
- 特に不登校に関連した心理的サポートや話し相手など:47件(22.27%)
- 学校以外のサポート機関との調整:44件(20.85%)
- 仕事への注力:22件(10.43%)
夫の役割
- 仕事への注力:32件(69.57%)
- 特に不登校に関連した心理的サポートや話し相手など:6件(13.04%)
- 日常の食事や生活の世話など:4件(8.70%)
- 学校との調整:2件(4.35%)
- 学校以外のサポート機関との調整:2件(4.35%)
本記事では、その設問に関連した「役割分担について、配偶者への感謝、要望、伝えたいことなどがありましたら教えてください。」という設問にお寄せいただいたエピソードと、キズキ不登校相談員・伊藤真依からのコメントを紹介します。
※紹介内容は、回答原文をもとに、不登校オンライン編集部が類型化・再構築・編集を行ったものです。
※回答者:全て「妻(不登校の子どもにとっての母親)」、敬称略、順不同で、しんのすけ、もも、すいーとぽてと、よーちん、あげは、ごくらく、153、らい、もりこ、さな、子育てを楽しみたい、うつぼ、あくう、姫菜、poreru、み、きなこ、ゆーみー、まんぼう、りー、Hideko、あじたま、みえころ、なお、ゼロ、みも
目次
- 類型①:協力・信頼―「役割は違っても、支え合えている」
- 類型②:感謝と要望の混在―「ありがとう、でも、もう少し…」
- 類型③:限定的関与・精神的孤独―「任せてもらっている。でも、孤独です」
- 類型④:放任・無関心(改善を求める声)―「せめて、子どもに傷つくことは言わないで」
- 類型⑤:役割は果たすが、感情が通わない―「表面的な分担だけでは、心は追いつかない」
- 類型⑥:感謝を抱きつつの理解不足―「ありがとう。でも、知ろうとする姿勢も欲しい」
- 類型⑦:信頼(任せてくれるが、応援してくれる)―「背後から支えてくれていることに、気づいています」
- 不登校相談員・伊藤真依(株式会社キズキ)のコメント
- 「不登校の保護者の夫婦関係」アンケート関連記事一覧
類型①:協力・信頼―「役割は違っても、支え合えている」
私は日々のケアや学校との調整を担当し、夫は子どもの話し相手になってくれたり、仕事の合間に支援してくれたりしています。
お互いの担当は自然と決まりましたが、しんどくなったときは交代しながら支え合っています。
子どもが話してくれたことを、夫婦で共有し、声がけの内容もすり合わせているので、一体感があります。
完璧ではありませんが、「ふたりでやっている」という実感があります。だからこそ、毎日の積み重ねが心強いです。
類型②:感謝と要望の混在―「ありがとう、でも、もう少し…」
夫は、雨の日でも送迎を引き受けてくれたり、買い物に協力してくれるなど、行動では支えてくれています。その点にはとても感謝しています。
でも、子どもの話を聞くときに、つい否定から入ることがあるのが気になります。
できれば、子どもが話すことをまず肯定的に受け止めてほしい。そして、家庭のことを“人ごと”ではなく、“一緒に悩むこと”として向き合ってくれると、もっと心強くなるのにと思います。
類型③:限定的関与・精神的孤独―「任せてもらっている。でも、孤独です」
夫は仕事に集中し、家庭内のことは私に任せきりです。確かに、役割分担としては成立しているのかもしれません。私も日々のやりとりの繊細さを考えたら、私が一元的に担う方がスムーズだと思っています。
けれども、大きな決断をするときや、子どもとの距離感に悩んだとき、「自分一人で判断している」という孤独感が襲ってきます。
伴走者としての心の距離がもう少し近ければと思うことがあります。
類型④:放任・無関心(改善を求める声)―「せめて、子どもに傷つくことは言わないで」
夫は不登校について否定的ではないものの、どこか“無関心”に感じてしまいます。声をかけるわけでもなく、関わることもない。
私はすべてを一人で抱えて、子どもとも夫とも話せない状態に陥ってしまいました。
さらに、子どもに向かって「死ね」「施設に入れたい」などと言ったときには、絶望しかありませんでした。
私は、夫に何かをしてほしいとは思いません。ただ、子どもの尊厳を傷つけることだけはしないでほしい。それだけが、いまの私の願いです。
類型⑤:役割は果たすが、感情が通わない―「表面的な分担だけでは、心は追いつかない」
夫は、送迎や簡単な家事、時には学校への出席など、見える範囲では動いてくれます。
ただ、それが“心から”なのかはわかりません。例えば、学校に呼ばれても平気で寝てしまったり、「洗い物だけしていれば十分だ」と思っている様子にモヤモヤします。
家事スキルや子どもへの声かけも、「学んで変わろう」とする姿勢が見えたら嬉しいのに。感謝の気持ちもある一方で、「もっと本気で、親として向き合ってほしい」というのが本音です。
類型⑥:感謝を抱きつつの理解不足―「ありがとう。でも、知ろうとする姿勢も欲しい」
夫が金銭面で支えてくれていることや、ゲームなどを通して子どもと関わろうとしてくれることには感謝しています。
子どもへの否定的な発言を我慢してくれたときには、本当にうれしく思いました。
ただ、子どもの不登校や発達特性について、もう少し深く理解しようとする姿勢がほしい。仕事に対しての熱量を、子どもとの関係づくりにも少し分けてくれたら。
私一人では背負いきれない重さがあります。
類型⑦:信頼(任せてくれるが、応援してくれる)―「背後から支えてくれていることに、気づいています」
夫は仕事が忙しく、子どもと過ごす時間は限られていますが、不登校について否定せず、私の判断を信じて任せてくれています。
その信頼に応えたいと思う一方、夫が自分なりの言葉で子どもと関わってくれることも、とてもありがたく思っています。
私は家の中の担当、夫は外での社会性を子どもに伝える存在。そういうバランスも悪くないかもしれません。夫が影で支えてくれているからこそ、私も母として踏ん張れています。
不登校相談員・伊藤真依(株式会社キズキ)のコメント
不登校のお子さんを支えるうえで、夫婦の役割分担や関わり方は家庭ごとにさまざまです。
どんな形にも良いところ、難しいところがありますが、共通して言えるのは、「完璧な協力」でなくても、想いを言葉にし合うこと、相手を信頼しようとする姿勢が、お子さんにとっての安心感につながるということです。
感謝があっても孤独、役割を果たしていても心が通わないなど、葛藤の中にいる方も多いですが、「支え合いたい」という気持ちがある限り、関係は少しずつ変えていけます。
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