
子どもの不登校と、夫婦の会話の増減【不登校と夫婦関係のアンケートから(8)】【調査報道】
ウェブメディア「不登校オンライン」は、2025年3月12日〜25日に、お子さんが不登校・行き渋りである(であった)保護者さまを対象に、「不登校の保護者の夫婦関係」についてのアンケートを実施しました。
「子どもの不登校に関連して、夫婦の会話は増えましたか?減りましたか?」という設問への回答は62名で、内訳は次の通りでした。
- 変わらない:27名(43.55%)
- 減った:24名(38.71%)
- 増えた:11名(17.74%)
本記事では、その設問に関連した「夫婦の会話の増減について、理由や状況を教えてください。」という設問にお寄せいただいたエピソードと、キズキ不登校相談員・伊藤真依からのコメントを紹介します。
※紹介内容は、回答原文をもとに、不登校オンライン編集部が類型化・再構築・編集を行ったものです。
※回答者:全て「妻(不登校の子どもにとっての母親)」、敬称略、順不同で、なつ、りん、やまぐち、ま、あげは、み、ごくらく、らい、子育てを楽しみたい、まさき、yoshino、きんたろう、まー、コ、あじたま、natsumi、すいーとぽてと、Sakl、みも、もも、ゼロ、ゆーみー、もりこ、なお、みえころ、F母、153、Hideko、まんぼう、あくう
目次
類型①-1:会話が「減った」●価値観のズレと疲労による沈黙
不登校になった当初、夫と何度も話し合おうとしましたが、夫は「学校に行くべき」という昔ながらの考えを変えようとせず、話すたびに対立するようになりました。
やがて「わかる人がやればいい」と言われ、子どもの対応は私一人の役目にされました。
今では、話しかけてもゲームをしていたり、返事がなかったり。私から話すことも、もうしなくなりました。
類型①-2:会話が「減った」●喧嘩を避けた結果の「沈黙」
子どもの話題を出すと、たいてい喧嘩になります。
「そんな話、今しなくていいだろ」「またその話か」と言われることもあり、次第に私も話す気を失ってしまいました。
最近は、伝えたいことがあってもLINEで済ませるようにしています。会話の量が減ったというより、会話を避けるようになったというのが正確かもしれません。
類型①-3:会話が「減った」●努力が報われず、心が離れる
私は何度も、夫と一緒に子どものことを考えたくて話しかけてきました。
けれど返ってくるのは「わからない」「で、どうしたいの?」という素っ気ない反応ばかり。だんだんと、私の話を遮るようになり、「話す意味がない」と感じてしまいました。
今では、夫婦の会話はほとんどありません。気づけば、一緒にいても心が通じ合っていない感覚があります。
類型②-1:会話が「増えた」●同じ方向を向こうとする二人
子どもが不登校になってから、夫婦で「今、何ができるか」を話す時間が増えました。
登校を促す声かけのタイミング、フリースクールへの対応、学校との連携方法…。子どもの気持ちを最優先にしながら、どう接すればいいかを相談する日々です。
以前よりも「家族として向き合っている実感」があり、会話が増えたことは救いになっています。
類型②-2:会話が「増えた」●心情の共有が会話を生んだ
私自身が不安定になりがちな日々の中で、「一人で抱えるのは無理だ」と思い、できるだけ夫に気持ちを共有するようにしました。
LINEやメールで、自分の思いや子どもの変化を伝え、夫にも一緒に考えてほしいと願いました。
今では、少しずつですが、子どもについての会話が増えてきました。「話してよかった」と思えることが増えています。
類型③-1:「変わらない」(良くも悪くも)●元から会話が少なかった、今も同じ
夫はもともと無口で、家庭内の会話は最小限でした。不登校になってもそれは変わらず、必要なことはLINEで送る、というスタイルのままです。
それに慣れてしまっている私も、改めて話しかけようとは思いません。夫婦の距離は、以前から一定のままだと言えるかもしれません。
類型③-2:「変わらない」(良くも悪くも)●話すテーマは変わったが、関係性は維持
昔は子どもの将来の夢や学校行事の話をしていましたが、今は不登校の現状や進路の話ばかり。テーマは変わりましたが、話す習慣そのものは変わっていません。
時には重たい内容にもなりますが、たまに一緒に外出すると、以前と変わらず他愛もない話もできます。バランスをとりながら、夫婦の会話を保っています。
不登校相談員・伊藤真依(株式会社キズキ)のコメント
不登校をきっかけに、夫婦の会話が「増える」ご家庭もあれば、「減る」「途切れる」ご家庭もあります。特に、価値観のズレや片方の無関心、対立への疲れが原因で、会話そのものを避けるようになるケースは非常に多いです。
「話しても意味がない」「また責められるだけ」と感じるようになると、伝えたいことがあっても言葉を引っ込めてしまう――これは、よくある“家庭内孤立”のサインです。
一方で、LINEやメモなど、無理のない形で言葉の往復を再構築しようとする動きも見られました。会話とは、「言い合う」ことではなく、「伝えたい・知りたい」という気持ちがどちらか片方に芽生えることから始まります。
大切なのは、「すぐに話し合える関係を目指さなきゃ」と焦らないこと。
沈黙している今は、会話を避けるのが“自分を守る術”かもしれません。
その場合は、必ずしも配偶者が相手出なくても家庭の外に「安心して話せる場所」をつくることで、自分の中の声を取り戻すことができます。
夫婦関係の改善を目指すかどうかは、それぞれの判断で構いません。
「自分の意見や声をなくさないこと」「誰かとつながっていること」だけは、ぜひ忘れずにいてほしいと思います。
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