
「子どもの不登校と夫婦関係」についての自由記述【不登校と夫婦関係のアンケートから(13)】【調査報道】
ウェブメディア「不登校オンライン」は、2025年3月12日〜25日に、お子さんが不登校・行き渋りである(であった)保護者さまを対象に、「不登校の保護者の夫婦関係」についてのアンケートを実施しました。
本記事では、そのアンケート中の「その他、『子どもの不登校と夫婦関係』に関連して、思うことをご自由にお書きください。」という設問にお寄せいただいたお声と、キズキ不登校相談員・伊藤真依からのコメントを紹介します。
※紹介内容は、回答原文をもとに、不登校オンライン編集部が類型化・再構築・編集を行ったものです。
※回答者:全て「妻(不登校の子どもにとっての母親)」、敬称略、順不同で、もりこ、すいーとぽてと、ま、み、みえころ、ごくらく、153、Hideko、さくらママ、らい、うさぎmama、あくう、みーちゃん、子育てを楽しみたい、もも、きんたろう、natsumi、ゼロ
目次
類型①:父親の関わりと信頼関係の欠如
子どもが中学生になるまでに、父親(夫)と子どもの信頼関係を築いておくことの大切さを痛感しています。
我が家では、父親が子どもときちんと向き合ってこなかったことで、尊敬もされず、関係が深まらないまま不登校を迎えてしまいました。
夫の存在がかえって子どもの心を削ってしまうこともあり、母親である私が子どもに寄り添うことを優先してきましたが、もっと父と子の関係づくりに目を向けていればと悔やまれる気持ちもあります。
類型②:家庭・夫婦関係の元々の問題が露呈したパターン
子どもの不登校によって、もともと抱えていた夫婦関係の溝が深まりました。
もともと仲が悪かったこと、価値観の違い、父親(夫)の暴言など、子どもにとって悪影響だった要素が、不登校によって一層明らかになったように感じます。
不登校がきっかけというより、問題が起きたときに出る人間性こそが本質なのかもしれません。この状況を経て、「夫とは本当に他人なのだ」と感じることも増えました。
類型③:母親への過度な負担と社会の構造的問題への憤り
共働きであっても、子どもの対応、家事、学校とのやりとりのほとんどが母親に集中してしまう現状に、強い不公平感と怒りを覚えます。
特に40代世代は、共働きが当たり前なのに家事育児の意識はアップデートされておらず、家庭不参加な夫により、家庭のバランスが崩壊する要因となっています。
このままでは、夫婦関係が壊れるか、子どもが心を壊すか、どちらが先かの違いでしかないと感じることがあります。
類型④:不登校と夫婦関係は、原因と結果がわからない
不登校と夫婦関係の関係性は複雑で、どちらが原因でどちらが結果か分からなくなることもあります。
放任主義の夫に対して、「救いになったのかもしれない」と思う一方で、「私ばかりが悩んでいる」と感じ、深い孤独も味わいました。
不登校は、家族の関係を壊すこともあれば、深めることもある。だからこそ、家族として、夫婦として、どう向き合うかが問われていると感じます。
類型⑤:不登校を通して得た学びと感謝の気持ち
不登校は、私たち夫婦にとって親としての成長の機会となりました。
子どもが命がけで訴えてくれたことを無視せずに、向き合ってこれたことには感謝しています。
夫婦で話し合いを重ね、「どうしたら子どもが笑顔で過ごせるか」に向き合えたことは、家族の絆を深めるきっかけになったと思っています。
子どもがくれた「親育て」の時間に、心からありがとうと言いたいです。
類型⑥:理想の夫婦関係への願い
「父も母も、あなたの味方だよ」と子どもに伝えられるような、協力し合う夫婦でありたいと思っています。
不登校の対応は母親ばかりに集中しがちですが、本来は父親も積極的に関わるべき問題です。
子どもとどう関わればよいか、夫婦で同じ方向を向いていなければ、子どもはより不安になるでしょう。
だからこそ、夫婦で一緒に学び、支え合うことが何より大切だと思います。
不登校相談員・伊藤真依(株式会社キズキ)のコメント
今回のご回答からは、不登校という状況が、夫婦関係のあり方や家庭内の構造的な役割分担を強く問い直す契機になっていることが分かりました。
「子どもとの信頼関係を築けていなかったことが悔やまれる」という声もあれば、「放任だったが、それが救いになった」と振り返るケースもあるように、不登校と夫婦関係の相互作用は一律ではありません。
家庭のあり方に「こうあるべき」という絶対解はありませんが、今回の声から浮かび上がったのは、母親側に過度な負担が集中しやすいという社会構造上の問題、そしてそれが家族関係に深い影響を与えるという現実です。
家庭内だけで抱え込まず、制度的な支援や第三者の関与が可能な形を模索していくことが、今後ますます重要になると感じました。
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