「子どもの行方がわからない」ときはどうする? 不登校で留守番が多い子の“もしも”対策
連日報じられる小学生の行方不明のニュース。「もし、うちの子がいなくなったら……」と胸をざわつかせている親御さんは多いはずです。
とくに、学校への行きしぶりや不登校などで日中を家で過ごす子や、留守番時間が長いご家庭にとっては、けっしてひとごとではありません。
また、すべての行方不明事件が報道されているわけではありません。警察庁のデータを見ると、子どもが行方不明になるケースは毎年一定数発生しており、報道はごく一部であることがわかります。
10歳未満・10歳代の行方不明者数(警察庁)
- 2022年:9歳以下 1,061人 / 10歳代 14,959人
- 2023年:9歳以下 1,115人 / 10歳代 17,732人
- 2024年:9歳以下 1,035人 / 10歳代 16,645人
行方不明の届け出が出されたあと、多くの子どもは無事に所在が確認され、家族の元へ帰っています。一方で、痛ましい結果が確認されるケースがあるのもまた事実です。
しかし、だからといって親が必要以上に不安を抱えたり、子どもを疑って過剰に管理したりする必要はありません。大切なのは、不安に押しつぶされることではなく、親も子どもも「安心」できるよう、もしもの時に備えた冷静な対処法を知っておくことです。
こどもへの防犯・防災教育にくわしい「NPO法人体験型安全教育支援機構」代表理事の清永奈穂さんも「不安を煽る情報に惑わされず、落ち着いて対策を考える時間にしてほしい」と語ります。
GPSは有効な防犯グッズだが「同意」は必須
外出時の備えとして有効な手段の一つが、GPS機能付きのスマートフォンや防犯グッズです。警察庁も「行方不明者の現在地を正確に把握することができるため、迅速かつ的確な発見活動を展開する上で有効」としています。
ただし、導入にあたって注意が必要なのは、過度な監視につながらないようにすること。親に逐一、行動を確認されては、子どもの安心が崩れてしまいます。かならず子どもの同意を得て「安全のために持ってほしい」という目的を共有した上で持ってもらうことが重要です。
家の中での「もしも」を防ぐ留守番ルール
子どもが家で1人になりやすい家庭では、外出時だけでなく「家の中での防犯」も重要です。清永さんによれば、以下のルールを年齢に合わせて決めておくことが有効だと言います。
連絡先の工夫
- 冷蔵庫など見やすい場所に「110番」や親の連絡先、家庭内で決めたルールを貼っておくこと。
戸締まりと窓の工夫:
- 玄関の鍵とチェーンをかけ、一軒家の場合は裏口の鍵も必ず閉めること。換気で窓を開ける場合は「補助錠」を使い、人が入れない幅(約10cm)に制限すること。
来客・電話対応:
- 低学年のうちはインターホンや固定電話には出ないのが基本。高学年になっても、知らない人にはインターホン対応にとどめてドアは開けない。宅配便は事前に「置き配」の手続きをしておくか、「外に置いておいてください」とだけインターホン越しに伝える練習をしておくこと。
防犯ブザーは「家の中」でも有効:
- 防犯ブザーは外出時だけでなく、万が一家に不審者が侵入しようとした際、大音量を鳴らして外に危険を知らせたり、相手に投げつけて隙を作り、鍵のかかる部屋へ逃げ込んだりするためにも役立ちます。
上記のようなルールは大人が一方的に伝えても、あまり効果がありません。親子で対話を重ねて、危険な状況とは何か、どうやってSOSを出すかを冷静に話し合うことで「親子の漠然とした恐怖心を和らげ、レジリエンス(回復力)を育むことにつながる」と清永さんは語ります。
行き先の共有と「ご近所」との関係性づくり
このほか、警察庁は「出かけるときは家の人に行き先を伝えることが重要」だとくり返し訴えています。チャットやメール、口頭でもよいので、「一言、言ってから出かける」という習慣はご家庭でつけておきたいものです。
もしものときの対応は
それでも万が一、子どもの姿が見えず、心当たりの場所を探しても見つからない場合、親はどうすればよいのでしょうか。
一番やってはいけないのが、「もう少し待てば帰ってくるかも」「警察に迷惑をかけてしまう」と通報をためらうことです。私も昔から「行方が分からなくなって24時間以上経たないと捜索願は出せない」と覚えていたのですが、それは大きな誤解でした。
警察庁は「子どもなどご家族等が行方不明になられた場合は、すぐに110番をするか、警察署に届け出てください」と呼びかけており、迷わずに相談してほしいとしています。なお、届け出(行方不明者届)をする際は、以下のものを持参すると捜索がスムーズに進みます。
- 行方不明者(子ども)の最新の写真
- 届出人(親)の身分証
- もし行方不明者が残したメモ等があれば持参
慌てないために。今日からできる「4つの備え」
ご家庭で、今日からできる具体的な備えをまとめました。
1. 緊急連絡先とルールは目につく場所に
- 冷蔵庫など見やすい場所に「110番」や親の連絡先を貼り、家庭内でルールをつくりましょう。
2. 出かけるときは一言伝える
- LINEでも口頭でも「どこに行くか」を知らせる習慣を親子でつけましょう。
3. GPS機器は有効だが、必ず同意を得る
- GPSやスマホを持たせる際は、勝手にカバンに入れるのではなく「安全のために持ってほしい」と伝え、本人の同意を得ましょう。
4. もしものときは「ためらわずに警察を頼る」と決めておく
- 万が一のときは、ちゅうちょせずに110番通報をしてください。無事に見つかって「お騒がせしてすみません」と笑って終わるのが、一番良い結果なのです。
親が「いつでも動ける準備」をしておくことは、子どもへの過干渉にはならず、むしろ子どもを信じて見守るための土台になります。
最後に
不登校の子どもには安心して休息する時間が必要です。そのため、多くの子は家の中でたくさんの時間を過ごします。子どもの安心と親の安心、両方を守るために最低限のルールを決め、同時に地震や火事への備え(家具の固定や火の取り扱い)についても、この機会に話し合ってみることをおすすめします。
石井しこう(不登校ジャーナリスト)



