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【連載】デジタル端末を活用した子どものココロを守る新たな取組? 不登校の保護者も「もしも」のときに使える! 基本のICT活用法

#不登校#行き渋り#COCOLOプラン#ICT教育

うまく使えば不登校に関する悩みの解消の糸口にもなり得る、教育現場のICT端末。

不登校オンラインでは、全4回の記事を通し、子どもの心を守るICTの活用について考えていきます。

  • 第2回 子どもの悩み早期発見の重要性
  • 第3回 子どもの悩み早期発見のための取り組み
  • 第4回 ICT×教育、新時代の希望と今後の課題

第1段の今回は「ICT教育拡大の背景と具体的な運用事例」について基本となる情報をお届けします。

ICT教育とは何か、どう運用されているのかを知ることで、不登校の子どもと学校のかかわり方について「こんなこともできるのか」など新たな視点をもつことができるかもしれません。

ICT端末は「教材」だけではなく、子どもたちのケアにも活用

近年の教育現場では、ICT(情報通信技術)の導入が進んでいます。

ICT普及の流れは、新型コロナウイルスの影響もあって一気に加速しています。

ほとんどの小・中学校では1人につき1つのタブレットやパソコンなどのICT端末が支給されている状況です。

2023年3月に文部科学省が公表した「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(以下、COCOLOプラン)」でも、ICT端末の導入について触れられています。

そこでは、指針として「ICTや民間のノウハウを活用しながら不登校の子どもたちや保護者に必要な支援を届けていく」と明記されています。

ICT端末の存在意義は、学習教材としての機能やIT人材の育成のみならず、子どもたちの心身の安全を守る役割にまで及んでいるのです。

GIGAスクール構想によるICT教育の拡大

2019年12月、文部科学省は「GIGAスクール構想」を発表し、全国の小・中・高校を対象に次の2つの実現に向けた取り組みを開始しました。

  1. タブレットおよびPCを「1人1端末」支給
  2. 高速大容量の通信ネットワークを各学校に整備

その後、令和4年度(2022年度)末に行われた調査によると、小・中学校における「1人1端末」の達成率は99.9%。

端末を完全配備できていない自治体は、わずか2か所のみ(※)でした。

(※)神奈川県特別支援学校、長野県軽井沢町。ただしどちらも「令和5年度(2023年度)中に整備完了予定」としていました。

(出典:文部科学省初等中等教育局 修学支援・教材課「義務教育段階における1人1台端末の整備状況(令和4年度末時点)」)

当初は2023年度末までの達成が目標とされていました。

しかし、新型コロナウイルスの影響によって、一斉休校やオンライン授業への切り替えが相次ぎ、約3年前倒しとなる2020年度中に多くの自治体で端末の配備対応が行われました。

ほとんどの小・中学生がデジタル端末に触れられるようになった今、学校ではどのようにICT教育が運用されているのでしょうか。

不登校や学校に悩んでいる生徒に関わる2つのポイントに絞って、現状の運用を見ていきます。

①学習教材としての利用と欠席救済措置

文部科学省は、「やむを得ず学校に登校できない児童生徒等へのICTを活用した学習指導等について」として、不登校の生徒に向けたICT教育の運用方針を示しています。

ICT端末で学校と自宅をつなぐ手段を確保

特に、一定の期間やむを得ず学校に登校できない生徒に対しては、以下の考え方を基本として学びを続けられるような対策を講じる必要があるとされています。

ICT端末を自宅等に持ち帰り、オンラインによる朝の会や健康観察で会話する機会を確保したり、ICT端末に学習課題等を配信することで自宅学習を促進したり、同時双方向型のウェブ会議システムを活用して教師と自宅等をつないだ学習指導等を行ったりするなど、登校できなくても学校と自宅等をつなぐ手段を確保し、児童生徒の住んでいる地域によって差が生じることがないよう、児童生徒とコミュニケーションを絶やさず学びを止めないようにする取組を行うことが重要である。

(出典:文部科学省「やむを得ず学校に登校できない児童生徒等へのICTを活用した学習指導等について」

具体的な例として、授業の録画配信や、民間のコンテンツを使ったレベル別の補習など、学校に行けなくても学びが止まらない活用方法が各自治体で展開されています。

欠席日数の救済措置にもなり得る

また、不登校の子どもたちにとって重大な課題のひとつである「欠席日数」についても、ICT端末を使った学習で一定の救済措置を受けられる可能性があります。

やむを得ず学校に登校できない児童生徒について、一定の方法によるオンラインを活用した学習指導を行ったと校長が認める場合には、指導要録に「オンラインを活用した特例の授業」として記録すること。

(出典:文部科学省「やむを得ず学校に登校できない児童生徒等へのICTを活用した学習指導等について」

しかし、出席認定の裁量は各自治体や学校に任されており、判断はケースによってバラつきが生じます。

また、前提として長期的な欠席が想定された制度ではないため、ICTを使った学習が不登校の欠席日数問題における根本的な解決になるとは限らない点には注意が必要です。

②子どものSOSを早期発見

文部科学省から不登校対策として公開された「COCOLOプラン」では、『1人1台端末を活用した心や体調の変化の早期発見を推進する』と方針が定められています。

その仕組みのあるべき姿として、文部科学省は以下の2点を定義しています。

①1人1台端末等を活用して、児童生徒のメンタルヘルスの悪化やSOSを早期に把握し、スクールカウンセラーやソーシャルワーカー、養護教諭等とも情報を共有しつつ、チーム学校のもと早期支援を実施する体制構築を目指す。

②アプリ等を活用することにより、データに基づいた状況把握を行うことが可能となるため、教職員の目では分からなかったメンタルヘルスの悪化などを把握し、早期支援につなげる。

(出典:文部科学省「【資料5】ICTを活用した悩みや不安を抱えた児童生徒の早期把握・早期支援の取組について」

口頭で言いづらい悩みも生徒が気軽に相談できるようになったり、教職員やカウンセラーなどが情報の連携を取りやすくなったりすることは、ICTを利用した心の健康観察のメリットといえます。

実際に、ICT端末を使った生徒相談によっていじめが早期発見された事例も確認されています。

現代の技術を駆使したシステムの導入によって、不登校や学校の悩みへのアプローチも進化しているのです。

次回

4回の記事を通して、子どもたちの心を守るICTの活用を考える本連載。

次回は、「子どもの悩み早期発見の重要性」をテーマに実例を交えて伝えます。

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