今こそ問われる自己責任の社会、ひきこもりと生きる権利

西村秀明のコラムvol.3

 2019年11月に起きた筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性に対する嘱託殺人事件は、日本中に衝撃が走った。ALSはいまだ原因が解明されておらず根本治療がないものの、人工呼吸器を着装することで生存期間を延ばせるという。

 ところが、ALS患者の7割の方が「周囲に迷惑をかけて生きることになる」という理由から、人工呼吸器を着装せずに亡くなられていると知って、なお衝撃が走った。現代社会のなんと無策なことか。

 人間はみな迷惑をかけ合って生きていることが、当然でなくてはならぬ。1959年デンマークの社会運動家バンク=ミケルセンは、「障害のある者(マイノリティ)も一般市民も、この社会でともに生きるのがノーマルである」と主張し、人はどんなに障害が重くてもノーマルライフを送る権利があり、社会はそれを保障する責任があるという「ノーマライゼーション」を提唱した。この理念は全世界に拡がり、1975年の「障害者権利宣言」へとつながった。

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