無視、暴力、SNSでの悪口、経験者3名が語るいじめの昔と今
文科省の最新の調査によると、小中高校で認知されたいじめは約61万件(19年度)と過去最多を更新し、6年連続で増加している。また今年1月には「大津いじめ自殺」をめぐる民事訴訟が結審した。今号では10代から30代の不登校経験者3名にご協力いただき、オンライン座談会を開催。経験者の語りから、学校におけるいじめについてあらためて考えたい。(司会・小熊広宣)
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――本日は3名の不登校経験者にお集まりいただきました。まずは自己紹介からお願いします。
ゆら 高校1年生、16歳のゆらです。いじめがきっかけで、中学2年生のときに不登校をしました。
みか みかと申します。28歳です。小学校で養護教諭をしています。私がいじめを受けたのは小学6年生のときですので、当時を思い出しながらお話できればと思います。
とし 私は中学生のときにいじめを経験し、不登校になりました。高校中退後、10年ほどひきこもった経験もあります。年齢は37歳で、としと申します。
――ありがとうございます。つぎに、みなさんが経験されたいじめについて、お聞かせください。
ゆら 私の場合は部活内でのいじめでした。
私が住んでいたのは小さな町で、転校生でもやってこないかぎり、保育園から中学卒業までメンバーが変わりません。小中と同じ部活に入っていたんですけど、小学5年生のころから部活内で無視をされたり、陰口を言われるようになりました。
このときはまだ「いやがらせをされているな」という程度にしか考えていなかったんですが、中学に入って状況が変わりました。顧問や先輩に気にいられて、1年生でキャプテンを任されたんです。それから、いやがらせが過激になっていきました。LINEなどのSNS上で私の悪口が書き込まれるということもあったし、部活後の掃除を一人でやらされるということもありました。最初は耐えていたんですが、2年生の夏ごろには心も身体もズタズタになっていました。そこでやっと気づきました。「これはいやがらせじゃない、いじめだ」って。