文部科学省の調査に見る、小中学生の不登校の主たる要因:令和4年(2022年)版
文部科学省は、毎年、「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」という調査を行っています。その中では、「小中学生が不登校となった主たる原因」も公表されています。
不登校オンライン編集部には「子どもが不登校になる原因」を知りたいという声が多数寄せられますので、参考として紹介します。今回紹介するものは、令和4年(2022年)の調査内容です(公表は令和5年(2023年)10月)。
ただしこの調査は学校の先生が回答したものであり、「児童生徒や保護者の見解とは異なる」という指摘もあります。また、「不登校の直接的な原因は、特定・解決しなくてもいい」というケースもあります(※)。あくまで参考としてご覧ください。
※こちらの詳細は、記事「「不登校になった直接的な理由」は、特定・解決しなくてもいいケースも多い〜その例と考え方を紹介!〜」をご覧ください。
小学生の「学校行きたくない(行き渋り・不登校)」の原因
小学生は、全6,196,688人のうち、105,112人(1.70%)が不登校です。
そして小学生では、次のようなものが不登校の主たる原因とされています。
■学校に係る状況
- いじめ:318人(0.3%)
- いじめを除く友人関係をめぐる問題:6,912人(6.6%)
- 教職員との関係をめぐる問題:1,901人(1.8%)
- 学業の不振:3,376人(3.2%)
- 進路に関わる不安:277人(0.3%)
- クラブ活動・部活動への不適応:30人(0.0%)
- 学校の決まり等をめぐる問題:786人(0.7%)
- 入学・転編入学・進級時の不適応:(1,914人(1.8%)
■家庭に係る状況
- 家庭の生活環境の急激な変化:3,379人(3.2%)
- 親子の関わり方:12,746人(12.1%)
- 家庭内の不和:1,599人(1.5%)
■本人に係る状況
- 生活リズムの乱れ・あそび・非行:13,209人(12.6%)
- 無気力・不安:53,472人(50.9%)
■該当なし:5,193人(4.9%)
中学生の「学校行きたくない(行き渋り・不登校)」の原因
小学生は、全3,245,395人のうち、193,936人(5.98%)が不登校です。
そして中学生では、次のようなものが不登校の主たる原因とされています。
■学校に係る状況
- いじめ:356 人(0.2%)
- いじめを除く友人関係をめぐる問題:20,598人(10.6%)
- 教職員との関係をめぐる問題:1,706人(0.9%)
- 学業の不振:11,169人(5.8%)
- 進路に関わる不安:1,837人(0.9%)
- クラブ活動・部活動への不適応:839人(0.4%)
- 学校の決まり等をめぐる問題:1,315人(0.7%)
- 入学・転編入学・進級時の不適応:7,389 人(3.8%)
■家庭に係る状況
- 家庭の生活環境の急激な変化:4,343人(2.2%)
- 親子の関わり方:9,441人(4.9%)
- 家庭内の不和:3,232人(1.7%)
■本人に係る状況
- 生活リズムの乱れ・あそび・非行:20,790人(10.7%)
- 無気力・不安:101,300人(52.2%)
■該当なし:9,621人(5.0%)
原因にはこだわりすぎずに、「今の子ども」に注目を
最初にお伝えしたとおり、上記の結果はあくまで参考としてご覧ください。
例えば、上記調査では、不登校の主たる原因は、小学生・中学生ともに「無気力・不安」が最多となっています。
しかしこれは、「学校の先生の回答によるもの」です。本人・保護者がそう思っているとは限りません。
加えて、実際に「無気力・不安」が原因だったとしても、「なぜ子どもが無気力・不安になり、それが不登校につながるのか」は、この調査からはわかりません。
文部科学省が大規模な調査を毎年行っていることには敬意を表します。しかし、保護者の方は、「この調査結果だけが、不登校の原因についての絶対的な正解だ」とは思わないようにしましょう。
そして、原因には必要以上にこだわらず、また不登校のサポート団体・専門家に相談することで、「今の、あなたのお子さん」が次の一歩に進むためにできることが具体的に見えてくるはずです。
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