
【不登校進行期】夏休み後半、子どもが動けない理由とそっとできる声かけ【不登校の知恵袋】
夏休みの後半に、子どもがエネルギーがなくて動けないように見える――。
不登校の進行期にある子どもがこうした反応を見せることは、決して珍しいことではありません。
この状態を「ずっと休んでるんだから元気になるはず」と捉えると、親は戸惑い、子どもにとってもプレッシャーになります。
ここでは、親が焦らずに見守るための視点と、そっとできる声かけの工夫についてお伝えします。
【不登校進行期とは】
不登校は、前兆期→進行期→混乱期→回復期という経過を辿ることがよくあります。進行期とは、不登校が始まり、心理的な落ち込みが激しくなり、やがてその状態が固定化されるまでの期間のことです。この記事は、主にこの時期のお子さんがいる保護者さんのための内容です。もちろん、それ以外の時期の方にもお役立ていただけます。不登校進行期の記事一覧はこちら
【サポート団体を利用しましょう】
不登校のお子さんのことを、保護者だけで対応する必要はありません。不登校のサポート団体を適切に利用することで、お子さんも保護者さまも、「次の一歩」に進みやすくなります。サポート団体の探し方は、こちらの記事をご覧ください。
目次
「長い休みを経ているのに、元気がない」は不自然ではない
親から見れば、「もう1か月も学校がないし、そもそも1学期も学校を休んでいるんだから、少しは元気になってもいいのでは」と感じることもあります。
それなのに「家でゴロゴロして動かない子ども」を見ていると、不安や苛立ちが募るかもしれません。
けれど、この「動けなさ」には理由があります。
動けなく見えても、回復の準備は進んでいる
不登校進行期の子どもにとって、夏休みの前半は「学校というストレス源からしばらく離れられる」と安心できる時期。精神的な緊張が一気に和らいで、「それまで張り詰めていた糸がぷつりと切れたように」、動けなくなることがあります。
そして後半。この時期には、「もう2学期が始まる。自分は一体どうなるんだろう」という不安が生じます。前半とは違い、精神的な緊張が一気に高まります。「心の糸が、改めて張り詰めて」いくのです。
前半と後半で、どちらでも動けないこともあれば、どちらか一方で動けないこともあります。
周りから見る「動けない」という状態は、前半も後半も同じかもしれません。しかし、子どもの心境には、緊張の糸が切れた、張り詰めたという違いがあります。
不登校の進行期は、「自分を見つめて、心が回復しようとするための準備段階」にあたります。だからこそ、親が過度に心配したり、動かそうとしたりしないことが重要になります。
親の「焦り」が子どもに与える影響
「このままずっと動けなかったらどうしよう」という焦りは、親にとって自然な感情です。
ただ、この焦りがそのまま子どもに伝わると、子どもは「自分は何もできないダメな存在なんだ」と感じることがあります。
子どもは親の心の動きを敏感に察知する
子どもは、親がため息をついたり、落ち着きなく過ごしたりする様子から、「自分のせいで親が困っている」と感じ取ります。
その結果、「自分は迷惑な存在だ」と感じ、さらに動けなくなることもあります。
だからこそ、親が「大丈夫だよ」「今は休むときだよ」と、子どもの状態を受け入れる姿勢を示すことが重要です。
子どもが部屋にこもっているときも、ドア越しにそっと「ごはんできたよ」「冷たい麦茶あるよ」とだけ声をかけるなど、負担にならない接し方が望ましいです。
親の不安とどう向き合うか
不安を完全になくすことはできません。大切なのは、その不安をどう扱うかです。
「何もしないと不安になる」というのが親の本音だとしても、その不安を子どもにぶつけるのではなく、「今の子どもにとって、何が最善か」を考えてみましょう。
「今は休む時期」と自分に言い聞かせることも、自身を支えるひとつの手段です。
ノートやスマホのメモ機能を使って、気になること・心配なことを書き出すことで、自分の不安と一定の距離を保つ工夫も有効です。
声かけは“元気づけ”より“安心させる”
夏休み後半の子どもにかける言葉は、エネルギーを注入するためのものではなく、安心感を与えるものにしましょう。
避けたい言葉と、その代替表現
子どもに「言いたいこと」があっても、それを直接伝えると、子どもは不安を覚えます。
次のような言い換えで、子どもに安心を与えるだけでなく、親自身の気持ちも落ち着かせてくれます。
「もう2学期が始まるよ、準備はしてる?」
→ 「夏休み、ゆっくり過ごそうね」
「学校に向けて、生活リズムを整えたら?」
→ 「ゆっくり寝てても大丈夫だよ」
「何もしてないと、もったいないよ」
→ 「休むって、大事なことだよ」
タイミングも重要
声かけは、子どもが少しでも落ち着いているタイミングを見計らうのがベターです。
目が合った瞬間、寝起きのタイミング、食事中など、「反応が返ってくる余地がある時間」にひと言だけ添えるイメージです。
言葉数を増やす必要はありません。「おはよう」「今日は天気いいね」などの何気ない会話の積み重ねが、子どもとの距離を保つ鍵になります。
声かけがプレッシャーにならないよう、LINEや付箋など、間接的な方法を試すのも一案です。
親の心構えとして「充電期間」と捉える
「何もしていない」ように見える時間も、子どもにとっては回復のための大切なプロセスです。
これを“空白”と捉えるのではなく、“充電期間”と見る視点が、親にとっても子どもにとっても救いになります。
焦らず、信じて待つ
不登校進行期は、子ども自身が「心の底に沈んでいくような感覚」を伴う時期です。
この時期は「焦らないこと」が大切です。気持ちにも波がありますし、目に見えない変化が少しずつ進んでいることもあります。
親が「子どもを信じて待つ」ことで、子どもも「自分は大丈夫」と思えるようになります。
親自身も休んでいい
子どもにとっての“安心の基地”であるためには、親自身が消耗しないことも大切です。
睡眠や食事、趣味など、自分の時間を意識的に確保することも、親のコンディションを保つ鍵になります。
不登校進行期で、夏休み後半に動けない子どもへの親の対応につまずきがあったエピソード
不登校オンライン(キズキ)が見聞きした、「不登校進行期で、夏休み後半に動けない子ども