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【全文無料】夏休みなんて嫌い!? 不登校の子どもと親が「夏の帰省」にイマイチ乗り気になれない理由

夏休みには実家や親戚宅へ帰省する家族も多いです。不登校の子どもとその家族はどう対応しているのか、アンケートを取りました。

帰省をしたくない? 帰省を楽しみにしている? みんなはどう感じているのでしょうか?

編集部で考えていた「予想」とは違った思いがあるようです。親と子どものそれぞれの回答を紹介します。

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* * *

親子とも約半数が「親戚と過ごすのが楽しみ」 

今回のアンケートでは、「この夏、親戚の訪問・来訪の予定がある」と答えた方たちに、親と子それぞれが「親戚と過ごすことを楽しみにしているか」について、尋ねてみました(37名。全回答数のうち77.1%)。

「あなた(親御さん)ご自身は、ご親戚と過ごすことを楽しみにしていますか?」

「親御さんご自身が親戚と過ごすことを楽しみにしているか」という質問に対し、次のような回答結果が得られました。

  • 「はい」……54.1%
  • 「いいえ」……10.8%
  • 「どちらとも言えない」……24.3%
  • 「その他」……10.8%

○親御さんの「はい」の理由(括弧内は子どもの学年。以下同様)

コロナ禍でなかなか帰省できず、久しぶりでした。(中3)

(祖父母・親戚は)不登校の子どもの気持ちについて、本を読んだり、テレビの特集を観たりして、理解しようとしてくれており、子どもに居心地のよい対応を心がけてくれます。子どもも私も安心です。(小6)

(祖父母・親戚は)不登校等関係なく接しているから。(中2)

親戚も不登校に理解があるから。(中3)

義母やおじは子どものことをとても大事に思ってくれており、楽しい経験をさせてもらえるので。(中2)

実家で息抜きできるから。(小6)

不安定な子どもと一緒に過ごす大人が、自分以外にも常にいてくれる環境がありがたい。また、夫の妹も昔不登校だったため、夫の実家の理解は自分の実家よりもある。(小6)

悩みも含めていろいろ話を聞いてもらってきたから。(中2)

 

「不登校/行き渋りのお子さんは、ご親戚と過ごすことを楽しみにしていますか?」

※お子さんが言葉している場合にはその内容、そうでない場合は親御さんから見た態度やようすなどについて回答していただきました。

「子どもが親戚と過ごすことを楽しみにしているか」という質問に対し、次のような回答結果が得られました。

  • 「はい」……51.4%
  • 「いいえ」……5.4%
  • 「どちらとも言えない」……27.0%
  • 「わからない」……10.8%
  • 「その他」……5.4%

○子どもの「はい」の理由

(祖父母・親戚は)都内に住んでいるので、賑やかなところや、話題の食べ物のお店などに一緒に連れて行ってくれるのが楽しみのようです。(中2)

いとこも集まってBBQをしたり、出かけたりと、普段はできないイベントが盛りだくさんだから。(小6)

行き渋りになる前に帰った時に楽しかったそうで、また同じ体験をしたいそうです。川遊び、親戚との食事(家より豪華)、親戚の子どもたちとのゲーム遊びなど。(小3)

楽しみすぎて、数日前からずっとフィーバーしていた。6週間の滞在、優しく理解のある親戚だらけです。楽しい遊びやレジャー、家庭菜園、制作活動(ガラス細工、レジン、編み物など、たくさんさせてくれる)が待っており、ずっと「楽しみすぎる!」と連呼していた。(小4)

学校のことを何も質問されず、子どもが話したい話を楽しんで肯定的に聞いてくれるから。(小6)

実家で飼っている犬の散歩ができるから。(中2)

おじとはLINEでもつながっており、友だちのような関係なので。(中2)

おばとはSNSなどで仲良くしているから。(高1)

親族にすべて隠さず話しています。その上で、変わらず話しかけたり遊んだりしてくれるので、普段通りに過ごしています。学校の話題になっても、本人が自分で「行けてなかったから」ということもあります。気まずい時もありますが、あまりこちらが気にかけないようにしています。(中1)

海などに行けるのと、環境が変わることで気分転換になるのか、活動的になる。(中1)

夏の帰省に悩む不登校の子とその親御さんの力になりたい。

ほかのご家庭の帰省の悩みとその対処法をシェアし合って、この夏休みをできるだけ心穏やかに過ごしていただきたい。

今回のアンケートは、そんな思いで実施しました。

「帰省を楽しみにしている方」が編集部の事前の予想よりも多く、少しだけほっとする結果となりました。コメントには、子どもたちのキラキラとしたようすが溢れています。

一方で、つらいお気持ちや葛藤を率直にお伝えくださった親御さんもいました。

「親戚に会いたくない……」 アンケートから浮かび上がったその理由とは?

「親戚と過ごすことを楽しみにしているか」という質問に対し、「いいえ」と回答したのは、親御さんの10.8%、子ども5.4%と、意外にも(?)少数派。

とはいえ、理由はどれも切実なものです。

また、明確に「いいえ」と答えた方たちだけでなく、「どちらともいえない」と答えた方たちからも、「親戚に会いたくない」理由が寄せられています。

「楽しみにしている反面、ここは正直ツラい」。

そうした親子それぞれの葛藤がひしひしと伝わってくる内容でした。

○親御さんの「いいえ」の理由

学校の様子を聞かれたくない。(高1)

子どもの学校のことを聞かれることが不安。不登校を伝えていないが、嘘もつきたくない。親戚の子と自分の子を比べてしまうのが嫌。不登校で生活が乱れている子が祖父母宅でどう過ごすのか不安。きちんとできないなら帰省自体やめてしまおうかとも思う。(中1)

自分と両親の関係がよくないから。孫には優しく尊重してくれるが、自分に対しては親の理想を押しつけてくるのでつらい。(小6)

自分も不登校の経験があり、その時の親のとった行動や言動を許せない気持ちもある。(中1)

○親御さんの「どちらともいえない」の理由

子どものいとこが名門校に進学して優秀過ぎる。全く勉強せず不登校から定時制高校に進んだわが子との差が激しくて、上手くコミュニケーションが取れるか不安。(高1)

子どもの不登校を話していないから。(小4)

表向きは不登校のことを受け入れているようで、言葉では本人にプレッシャーをかけるので困る。(中3)

親戚は不登校を知っているが、その話題には触れない。でも、同じくらいの子どもがたくさん集まって、学校や宿題などの話題で盛り上がっているのは、正直きついです。(小4)

子どもの発達の話になると、考えややり方を否定されることがある。なるべくそれ以外の話をするようにしている。(小2)

○子どもの「いいえ」の理由

お客さまが来ている時は、自分の部屋に籠もっている。(中3)

コロナ禍で数年帰省していなかったため、祖父母のことや親戚のことを覚えていなかった。今回は事情があって急な帰省だったため、戸惑いが大きかったようです。(中3)

○子どもの「どちらともいえない」の理由

ここ最近は、行ってもずっとスマホを見ているから。(高1)

学校生活のことを聞かれるため、嘘を言うのは嫌だと言っています。(中2)

絶対に行きたくないとは言わないが、「朝みんなと一緒に起きて、一緒に朝ごはんを食べられる?」と聞くと「わからん」と言う。(中1)

遠い親戚に会うことには、かなり消極的。勉強の話や成績の話がよく出るので、不安なのだと思う。(高1)

祖父母に学校や勉強のことを聞かれるのを嫌がっている。(小4)

不登校のころは、学校のことを聞かれたくないと感じていたようです。(高1)

日常から遠く離れる安心感がある。その反面、不登校である自分を祖父母に対して後ろめたく感じていて、心からリラックスできていない。(小6)

きっとおじさんが自分に何か言うだろうから。(中2)

お小遣いが欲しいためについてきてくれると思う。(中1)

○その他

「相手による」 

集団や初めての場が苦手。親しみのある親戚は、素直に話せるので好きなようです。会う頻度が少ない親戚の中には、緊張する人もいます。(小3)

 

親戚と会いたくないときはどうする? 別記事「「夏の帰省」はパスしていい!? どうしても避けられないときの攻略法」でまとめました。

親戚はみんな会いたがっているかも!? 

では、親戚の側はどう考えているのでしょうか。

残念ながら親戚ご本人にお尋ねするのは難しかったため、今回は「親戚の言葉やようすなどから、子どもたちに会いたがっていると思われるか」という視点で回答していただきました。

ご親戚は、お子さんと過ごすことを楽しみにしていますか(あるいは、楽しみにしていると思われますか)

「はい」が89.2%、「わからない」が10.8%、そして、「いいえ」はなんと0%です。

もちろん、「訪問・来訪の予定あり」と答えた方たちの回答ですので、親戚関係が難しくてもともと会う予定のない方たちは含まれていません。

しかし、同じ条件で尋ねて「はい」と答えた親(54.1%)、子(51.4%)と比較すると、ここには注目すべき差があります。

親戚による「不登校への配慮・理解のない言動」はあるかもしれません。

しかし、決して意地悪でやっているわけではないことが、この回答結果からも伝わってきます。

むしろ、子どもを大切に思っているからこその言動であることが多いでしょう。

けれども、それが事情を複雑にしている。不登校の子どもと親の帰省の悩みの根っこは、ここにありそうです。

「2024年のわが家の夏休み」 みんなの「知恵」と「ぼやき」と「オススメ」は?

最後に、アンケートで寄せられた「2024年のわが家の夏休み」をご紹介します。

「うんうん」と共感したり、「なるほど」と納得したり、「そんなことを!?」と驚愕したり。

あなたとお子さんの夏休みの参考にしてみてはいかがでしょうか。

大人も子どもも、とにかく自由にのんびりゴロゴロ好きなことを楽しむ。子どもに何も強要しない。すべてにおいて、「ラクで楽しい」を選択する。「ラクで楽しい」を自分に許可する。(小2)

夏休み中は、日中から出かけても「補導されるかも」という心配がないので、子どもだけでも外出がしやすい。 オリンピックの放送が少し遅くても、観るのをOKしがち。(中2)

不登校なので、夏休みに入っても普段と特に変わらないです。 外は暑いので、あまり外出したくないと考えています。 子どもが大きくなり、大人も楽しめるアニメ映画(新海誠監督の映画など)を観るようになったので、一緒に観たいと思っています。(小4)

ごはんを食べる時間が自由過ぎて、食事の用意に疲れる。自分で作ったりして食べてほしい。(中3)

学校との連絡もないので、親の負担は少し減っていますが、手付かずの宿題を見ると勉強の遅れが気になり焦ります。当の本人は、兄弟が毎日家にいるのが嬉しいようです。(中1)

なるべく外での活動を勧めていますが、学校の友だちとは絡まないので、本人も意欲的です。(中2)

とにかくノンビリ過ごさせることと、子どもが楽しいこと・やりたいことをさせようと心がけています。ただ、夏休みの宿題をやるのかどうか、二学期からのことなど、一緒にいる時間が多いほど不安や焦りがさらに募ります。(小3)

とにかく毎日好きなことをしまくる! 毎年、夏休みが心の傷回復に多大なよい影響を与えてくれています。(小4)

今年受験生なので、毎日楽しく塾に通っています。塾はとても楽しいらしく、目標としている学校を目指して、毎日自習室にも積極的に通っています。夏休みに入り、突然顔が輝きイキイキとしました。(小6)

子ども料金で旅行できる最後の年なので、電車で旅する予定です。(小6)

卒業後の進路を決めるために、高校の体験入学の予定がいっぱいで親も疲れる。本人は渋々だし。選択肢も多いのはよいのだが、何の疑いもなく全日制のみで進路を考える人たちを羨ましくも思う。 私が外出しているほうが、意外と、考えて生活している様子。信じて遠くで見守るように気をつけている。(中3)

とても簡単なお手伝いを、責任を持って毎日やることを約束しました。親から促すことも多いですが、毎日続けてくれています。 普段は学校へ行かないことを気にしてしまいますが、同じ休みでも、夏休みだと思い切り休めるような気がして、気持ちが楽です。(小4)

学校に行かなくなって初めての夏休みですが、部活にも宿題にも追われないのは気持ちが親も楽です。のんびりするのもいいかなあと思っています。(中2)

夏休みは旅行を計画しましたが、本人に聞くと「みんなで行ってきていい、自分は留守番してる」とのことでした。 本人の意思を尊重するようにしています。(中3)

やらなきゃいけないプレッシャーはあるけど、夏休みの宿題に一つも手がつけられていない様子。親が応援しても何も事態は変わらないのは、再登校を始めた今年の4月から幾度か経験していること。私が、今ここぞと思った時に息子に対して伝える言葉は、「あなたが自分で決められると思っている」の言霊(ことだま)。 夏休みは、ゲーム三昧、プール、釣り、花火!? お祭り!? 友だちとも、一人でも、堪能したらよいと思っています。(中2)

エアコンがずーっとついてる。電気代がぁ!(中2)

**********

このアンケートを通して、不登校の子どもの親御さんたちのさまざまな思いや工夫が浮かび上がってきました。

まずは小さな社会である親戚関係で子どもの不登校への理解を広げていこうとされるご努力に、「不登校オンライン」編集部は心からの敬意を表します。

そして、理解を得られずに悩まれている親御さんをサポートできるような情報、社会の側に少しでも働きかけることができる情報をお届けしていきたいと願っています。

 

※2024年版「夏休みの帰省」に関するアンケート
実施期間:2024年7月31日〜8月7日
調査対象:不登校の子どもの親御さん
調査方法:インターネットによるフォーム提出(Googleフォーム)
回答数:48
質問項目:
【質問1】お子さんは2024年度1学期現在、不登校/行き渋りですか?
【質問2】質問1のお子さんの学年を教えてください(該当するお子さんが複数いらっしゃる場合には、それぞれについてご記入ください)。
【質問3】2024年夏休み、ご親戚(祖父母等)を訪ねる、またはご親戚が来訪する予定はありますか?
【質問4】一緒に過ごす予定のご親戚は、お子さんの不登校/行き渋りについてご存じですか?
【質問5】あなた(親御さん)ご自身は、ご親戚と過ごすことを楽しみにしていますか? また、その理由をご記入ください。
【質問6】不登校/行き渋りのお子さんは、ご親戚と過ごすことを楽しみにしていますか? また、その理由をご記入ください。(お子さんが言葉している場合にはその内容、そうでない場合は親御さんから見た態度やようすなど)
【質問7】ご親戚は、お子さんと過ごすことを楽しみにしていますか(あるいは、楽しみにしていると思われますか)?
【質問8】帰省や親戚付き合いに限らず、「2024年のわが家の夏休み」について、ご自由にご記入ください。(過ごしかた、予定、こころがけていること、心配ごと、ぼやき、ほかのご家庭へのオススメなどなど、なんでも!)

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