【高校中退】親子の孤独・不安・あせりを解消!<3つのセーフティーネット>

高校不登校を経て中退をした、または不登校中で中退を考えている…という方は、少なくありません。

お子さん自身も親御さんも、高校中退が決まると、「もうお先真っ暗…?」というお気持ちになることもあるでしょう。

このコラムでは、高校中退に関連する「孤独と不安」への対処法として、「3つのセーフティーネット」をご紹介します。

お子さんがすでに中退した方・中退を決めた方にも、中退するか悩んでいる状況の方にも役に立つ内容です。

高校中退後には、「孤独感と不安感」こそが気をつけたいポイント

ご存じかもしれませんが、高校中退後に取れる道はたくさんあります。

「高校卒業」や「大学進学」というルートだけを見ても、通信制高校や定時制高校への転校、高卒認定試験からの大学受験などがあるのです。

決して「お先真っ暗」などではありません。

しかし、頭ではそう理解していても、お子さんは孤独を感じ、親御さんもとても不安になることでしょう。

それが当然の気持ちですよね。

この「孤独感と不安感」こそが、高校中退後に最も気をつけたいポイントになります。

前提:高校中退者は43,401人いるし、進路もサポート団体もたくさんある

文部科学省の調査によると、2022年度の高校中退者数は、全国で43,401人でした(参考:「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。

単純計算だと、1か月に3,617人、1日あたりおよそ119人が高校を中退している計算になります。

こう聞くと、高校中退者は結構多いんだなと感じませんか?

これだけ大勢の高校中退者が(毎年)いるということは、逆説的に、「高校を中退しても、その後の進路はたくさんある」「高校中退した人たちをサポートする人たちもたくさんいる」ということになります。

でも、そういうことはあまり知られていないのかもしれません。

お子さんは、高校中退をするかの決断を迫られたり、高校中退を決めたりすると、所属がなくなることへの恐れと不安からあせりが生じ、「自分だけ…」という「孤独感」が生まれます。

親御さんも不安なことでしょう。

こうなると、親子ともども、冷静に進路のことを考えることが難しくなります

高校中退から「次の一歩」に進んだ人も、支援者も、大勢います。
たくさんの選択肢があるのに、「孤独」という暗闇でそれらが見えなくなるのです。

では、どうすればいいでしょうか?
いよいよ、具体的なセーフティネットを紹介します。

セーフティーネット1. 孤独沼にはまる前に、できる限り早くつながりをつくる

まずは、お子さんも親御さんも、「孤独感や不安感」を吐き出すことができる相手を「身近に」持つことが必要です。

不安感や孤独感を吐露できる相手なら、ご友人でもご家族でもよいです。

ただ、お子さんについては、中退への引け目から、ご友人と距離をとることもあるかもしれません。
また、自分の孤独感や不安を家族には伝えたくない(心配かけたくない)という思いがあるかもしれません。

そのため「友人・家族以外の第三者との関係性をつくっておく」とよいでしょう。

具体的には、昔お世話になった習い事の先生や、以前通っていた塾の先生などが候補となります。

「以前の知り合いに中退のことを知られたくない」という場合は、「以前のご本人を知らない人」を確保できると理想的です。

これも一例として、新たに通う「高校中退者を受け入れている塾」の先生などが考えられます。
中退経験がある人や中退した人をたくさん見てきた相手だと、なおよいでしょう。

セーフティーネット2. 中退後の最適な進路のアドバイスを受ける

高校中退後の進路には、多くの選択肢があります。
大切なのは「どれがお子さんに合っているか」という視点です。

そのためのアドバイスを行える人(団体)を探してみてください。

「高校中退 進路相談 ○○市(○○県)」などとネットで検索すると、そうした団体が見つかります(一例として、大阪市のウェブサイトには、「高校を中途退学したあなたへ ~新たな生活のために ~」という相談先の紹介ページがあります)。

例えば、高校卒業や大学進学をしたい…という場合、通信制高校がいいのか、定時制高校がいいのか、高卒認定試験からの大学受験がいいのか…適切な選択はお子さんごとに異なります。

ご自身(親子)でも考えつつ、「どのようなルートが向いていそうか」というアドバイスを受けることで、適切な選択がしやすくなります。

さらに例を深めて、「全日制高校のお子さんで朝起きるのが大変で遅刻が多かった」という場合、「通学時間帯をずらすことができる定時制高校や、通学の頻度が少ない通信制高校は、有力な選択肢になる」というアドバイスが考えられます。

そして、ひとくちに定時制高校や通信制高校といっても、学校ごとに特色が異なります。

ですので今度は学校見学会に行って、学校からアドバイスを受けることができると、「実際の、その学校の環境」が「実際の、あなたのお子さん」にマッチしているかをさらに検討しやすくなります。

お子さんの状況やお悩みを踏まえて、適切な進路のアドバイスができるような人をぜひ探してみてください

セーフティーネット3. 高校中退をポジティブに捉えるための道筋作り

3つ目のセーフティーネットは、「高校中退をポジティブに語れるような道筋をつくること」です。

高校中退自体は、ネガティブなこと(悪いこと)では決してありません。

ですが、そう意識していないと、高校中退という経歴がご本人の引け目になったりコンプレックスになったりすることがあるのです。

「高校中退」の経験をポジティブにとらえて「マイストーリー」として語ることができるとよいでしょう。

そうすることで、自身の認識だけではなく、周囲からもポジティブな評価が得られることがあります。

例えば就活などの場面でも、高校中退に関連する孤独感や不安の中でどのように納得できる道を選んだのか、どう向き合ったのか、ということを語ることができれば、ポジティブに受け取ってもらえるのです。

高校中退をポジティブにとらえるための具体的な方法の一つに、「お子さんが、高校中退後の本人なりの目標を立てる」があります。

難関大学合格などのやや中長期的な目標でも良いですし、高卒認定試験合格などの短期的な目標にするのも良いと思います。

「この経験をポジティブに語れる・考えられるようにするためには次の目標をどう設定するとよいか」をぜひお子さんと一緒に考えてみてください。

まとめ

高校中退後には、たくさんの選択肢があります。

ですが、孤独感と不安が高まると、それらの道をどう選んだらいいのか分からず、親子ともに暗闇の中で立ち尽くすかもしれません。

大切なのは、高校中退で生じうる「孤独感と不安」に対し、できる限り冷静に手を打つことです。

だから、どうかあせらず、「この先のこと」を考えてみてください。

大丈夫です。

この経験は人生のストーリーとなって、きっとお子さんの力になります。

※お子さん(の不登校・高校中退)のことを、親御さんだけで対応する必要はありません。不登校や高校中退の親子をサポートする団体などはたくさんありますので、ぜひそういうところも探してみてください。

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