「不登校の高3が通信制高校へ転校、3月卒業!」のリアル
連載「前略、トンネルの底から」でおなじみの不登校経験者・古川寛太さんと、キズキ共育塾ベテラン相談員・半村進さんによる対談が実現!
ちょっとダークな「子どもの本音」に驚愕? それとも納得? 子どもの高校転校を考え始めたみなさんへ送る、「トンネルの先」からのメッセージです。
※本文中の事例は個人的な体験です。各通信制高校の卒業条件等については、転校を希望する学校へ問い合わせてください。
第一印象は「こんなところへ行くくらいなら」
半村 全日制高校から通信制高校へ転校したいという相談は増えています。転校しても、かつてのクラスメイトたちと同じタイミングで卒業できるのか。それを気にしている人も多いです。
古川さんは全日制高校から通信制高校へ転校の経験があって、しかもそれが高校3年生の秋だったとうかがっています。これはご自身で決めたのでしょうか。
古川 表面上は自分の決断ということになっていますが、内実は「お膳立て」されていました。
転校は11月でしたが、決めたのは9月です。実は、3年生になってすぐの4月から5月に、親に連れられて何校か通信制高校のオープンスクールに行っています。そのときに初めて「通信制高校」というものを見たのですが、「こんなところに行くくらいなら、普通に今の学校に行く」と思いました。
半村 冒頭からさっそくいい感想ですね。子どもの側のこうした正直な思いを聞けるのはありがたいです。
転校先の選択基準は「マシなところ」!?
古川 「無理してでも全日制に行くほうがいい」と思っていたものの、身体的にも感情的にも崩れたのが8月ごろ。春に見た学校で「まだマシなところ」を選んで、転校を決めました。まったく前向きじゃなかったんです。
半村 親に連れられてしぶしぶオープンスクールに行ったのに、「強いて言えばマシなところ」をちゃんと感じていたことに、感心しています。しかも、それを覚えていた!
古川 いちばんひっそりしているところを選んだんです。看板が大きく出ているところは恥ずかしかったので。あからさまに「不登校の人、普通の学校に行けなかった人を集めてますよ」感があって。
駅から離れた「辺境」にある高校も見に行きましたが、そこはイヤでした。あまりにも自由で、進路のことを放っておかれるのは不安だったので。
駅前の大手で、できるだけひっそり。それならまだマシかなと。
半村 当時はここまで言葉にできなかったかもしれませんが、振り返って考えると、古川さんにとって「理にかなった」選択だったと言えそうですね。
転校したら卒業試験が待っていた
半村 転校せざるを得なかった時点で、卒業のタイミングは気になっていましたか?
古川 同期と一緒に卒業したいと思っていました。1年遅れるのはイヤでしたね。9月に転校を決めたとき、やることをやれば3月で卒業できると知って安心しました。
半村 3月で卒業できるとわかっていれば、安心して転校できる。これは、これから転校しようとしている人たちも同じ気持ちだと思います。
「最短で卒業するにはいつが学校を移るリミットなのか」を気にする方は、とても多いんです。何もする前に、「もう手遅れかも」と絶望しかけている人もいます。
古川さんは11月に転校しているので、「最短」に近いと思います。だからこそ、古川さんのご経験には、いろんな人が救われるのではないでしょうか。
古川 11月に転校して、12月の終わりに卒業試験を受けました。12月は忙しかったですね。たくさん課題を提出しました。
そのあと、1月〜3月には課題はなかったですが、イベントが多かったです。卒業制作や卒業式練習をしたり、ボランティア活動があったり。
通信制高校でしたが、課題でわからないことがあれば毎日行ってもいい学校でした。でも、毎日は行かなかったですね。週1回行こうと思っていましたが、結局あんまり行けず(笑)
「転校のススメ」は「あきらめ」も肝心!?
半村 「お膳立て」されていたとうかがいましたが、親御さんはいつごろから情報収集されていたのでしょうか。