
子どもの不登校、夫婦の役割分担【不登校と夫婦関係のアンケートから(5-1)】【調査報道】
ウェブメディア「不登校オンライン」は、2025年3月12日〜25日に、お子さんが不登校・行き渋りである(であった)保護者さまを対象に、「不登校の保護者の夫婦関係」についてのアンケートを実施しました。
「不登校の対応に関して、夫婦の役割分担はありますか?」という設問への回答は62名で、内訳は次の通りでした。
- ある:36名(58.06%)
- ない:26名(41.94%)
本記事では、その設問に関連した「どのような役割分担がありますか?」「役割分担について、詳細や補足がありましたら教えてください。」という設問にお寄せいただいたエピソードと、キズキ不登校相談員・伊藤真依からのコメントを紹介します。
※紹介内容は、回答原文をもとに、不登校オンライン編集部が類型化・再構築・編集を行ったものです。
※回答者:全て「妻(不登校の子どもにとっての母親)」、敬称略、順不同で、しんのすけ、かお、いぶき、すいーとぽてと、よーちん、natsumi、あげは、ごくらく、153、yoshino、らい、もりこ、やまぐち、さな、子育てを楽しみたい、Sakl、あくう、み、きなこ、うさぎmama、まんぼう、りー、きんたろう、みえころ、なお、hum、みも
目次
類型①:妻が全面的に担う―「何から何まで、私一人でやっています」
我が家では、不登校になった子どもの対応はすべて私が担っています。日常の食事の世話から、学校との連絡、フリースクールや教育相談センターとの調整まで。
夫は普段どおり仕事に行くだけで、家庭での役割はほぼゼロです。私はフルタイムで働きながら、子どもの心理的サポートや話し相手にもなっています。
夫は子どもと少しゲームの話をするくらいで、実質的な関与はありません。「夫婦で分担」と言えるような状況ではなく、正直、心も体もしんどいです。
類型②:機能的な役割分担―「それぞれ得意なところを分けて協力」
不登校の子どもへの対応について、我が家ではある程度の役割分担をしています。
スクールソーシャルワーカーとのやり取りや、フリースクールのスタッフとの面談は主に私が行っています。
一方、夫は地区の役員活動や仮転校先との実務的なやりとりを担当しています。
また、夫は子どもをドライブに連れて行ったり、週末の気分転換を企画したりするなど、精神面のケアも担ってくれています。
子どもが話してくれたことを夫婦間で共有するようにしていて、うまく棲み分けができていると思います。
類型③:夫は“仕事担当”、妻は“家庭と支援すべて”―「“働く夫”と“担う妻”のバランスのなさ」
「夫が仕事をがんばり、妻が家庭を支える」…一見、昔ながらの分担のようですが、現実はかなり偏っています。
私は仕事をしながら、子どもの日常のケアや学校・支援機関とのやり取りすべてを引き受けています。
夫は「仕事に集中することが自分の役目」と言いますが、正直、家庭での負担感は私に一方的にのしかかっているように感じています。
学校に呼ばれたときだけ顔を出す夫を見て、「世間体だけが大事なのか」と思うこともあります。
類型④:夫の関わりが限定的・気まぐれ―「週末の遊びはするけど、日常の支援は私だけ」
夫は子どもとの関係性に積極的というわけではありませんが、週末に一緒に映画を観たり、外出に付き合ったりすることはあります。ただし、学校や支援機関との調整はすべて私の担当です。
一緒に暮らしていても、私の負担が大きいのは否めません。
それでも、夫が子どもとの会話の中で少しでも前向きな言葉をかけてくれれば…という気持ちで、バランスを保とうとしています。
類型⑤:共に支える協力―「違いを尊重し、歩み寄りながらの支援」
我が家では、夫婦でできる限り協力し合うよう心がけています。
日中は私が対応することが多いですが、夫も子どもと共通の趣味で会話したり、ドライブに連れて行ったりして関わってくれています。
家庭の中での役割分担というより、「今、誰が必要か」に応じて動くような形です。
たとえば、子どもが話しやすい相手が私なら私が出て、夫なら夫が話す。子どもとの信頼関係を壊さないよう、夫婦間でも情報共有を大切にしています。
類型⑥:夫の消極性・無理解が分担を妨げる―「任せたようで、実は拒否している」
夫は「子どものことは任せる」と私に言いますが、実際には不登校の現実から目を背けているように感じます。
私が何かを頼んでも、理解しようとする姿勢がなく、話し合いにもならないことが多いです。
私は仕事との両立で時間も気力も限界。それでも子どもを守るために、学校とのやり取りも支援先の調整も全部一人でやっています。
夫の「任せる」は、「知らないままでいたい」の裏返しなのだと思います。
不登校相談員・伊藤真依(株式会社キズキ)のコメント
不登校への対応における夫婦の役割分担には、さまざまな現実と感情が交錯しています。今回いただいた回答からは、「名ばかりの分担」や「実質的な丸投げ」に苦しむ母親の姿が浮かび上がりました。
一方で、「役割分担が機能している」「必要に応じて柔軟に動いている」といった前向きな声もありました。そこに共通しているのは、“夫婦で情報を共有し合い、互いの得意・不得意を認め合う”姿勢です。どちらが何をどこまでやるかが明確でなくとも、思いを同じくして動ける関係性が、支援の土台となっているように感じます。
重要なのは、「母親が一人で背負い続けることが前提」にならないこと。夫婦で向き合い、役割を“分ける”ことは、母親の負担を軽くするだけでなく、子どもにとっても「ふたりの親に見守られている」という安心感につながります。
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