【連載第2回】不登校児童生徒過去最多。重要なのは数じゃない!
「3分で読める不登校の基本情報」をお届けする本連載。
不登校の子どもと関わるすべての「多忙な大人たち」のために、不登校の基本の「き」をご紹介します。
第2回は「不登校の子どもの数」。
今回も、さっそく結論です。
不登校児童生徒数、各学年の内訳は
文部科学省は毎年秋に、前年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を公表しています。
令和5(2023)年度の調査結果が公表されたのは、2024年10月31日。この日、多くのメディアが「不登校児童生徒数が過去最多」のニュースを報じました。
小中学生の「不登校児童生徒数が20万人を突破」と伝えられたのが、令和3(2022)年度。それからわずか2年での「30万人突破」です。
学年別の内訳を見てみましょう。
学年が上がるごとに、不登校の子どもの数が増加していることがわかります。
身の回りの不登校の子どもはどれくらい?
34万6,482人。この数字は多いのか、はたまた少ないのか。
小中学校の全在籍者数は932万1,243人。
不登校の児童生徒はおよそ27人に1人にあたります。
ただし前項で見た通り、不登校児童生徒数には、学年によって最大約9倍の開きがあります。そのため、「27人に1人」は保護者にとって実感が伴いにくい数字と言えます。
こちらも、学年別の比率を確認してみましょう。
- 小1……およそ106人に1人
- 小2……およそ73人に1人
- 小3……およそ56人に1人
- 小4……およそ44人に1人
- 小5……およそ35人に1人
- 小6……およそ29人に1人
- 中1……およそ18人に1人
- 中2……およそ14人に1人
- 中3……およそ14人に1人
実際には、地域や学校によって事情が異なるため、必ずしも計算通りにはなりません。
しかし、小中学生全体で見た「27人に1人」よりも、ご自身の子どもが置かれた状況をイメージしやすいのではないでしょうか。
「数字」に振り回されない冷静さを
「不登校の児童生徒数が過去最多」。
こうした情報は、ネガティブかつセンセーショナルに報じられます。
受け止める側も「由々しき問題」として捉えがちです。
しかし、ここで見落とされがちなのは、「なぜ数が増えたのか」。
「不登校のきっかけ・要因」ではなく、なぜ不登校児童生徒「数」が増えているのか、です。
大人の社会生活において、休むことの重要性・有用性が認知されるようになりました。
心身の不調は、対処が早く適切であるほど、回復も早いことが知られています。
これは、子どもでも同様です。
無理に学校へ行かせず、早めに休ませる保護者が増えているとも考えられます。
少なくとも、保護者世代の子ども時代より、「学校を休むこと」への理解は広がっています。
人生の序盤で、まず回復を優先する。
この選択による不登校は、むしろポジティブに受け止められてよいのではないでしょうか。
〈参考〉
令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
次回は「不登校の要因」に注目します!
〈もっと知る〉
【速報】2023年の不登校の小中学生34万6482人、高校生は6万8770人〜文部科学省最新データ公表〜
「不登校、いじめ、自殺が過去最多」子どもに関わる2023年の出来事をふり返る
ニュースで振り返る不登校 2022年の子どもをめぐる出来事を総括
記事一覧