栄養不足でうつになり不登校に? 児童精神科医が語る「落とし穴」

#不登校#行き渋り

【質問】先日参加した親の会で、ある方が「不登校に必要な栄養」について話をされていました。聞けば「不登校の子は太陽を浴びていないのでビタミンDが必要」「セロトニンが不足してうつなどになる」とのことで、栄養とサプリで元気になれるという話でした。私としては半信半疑なんですが、医療の専門知識もなく、どう考えたらよいのか悩んでいます。

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 親の会で「ある方」が話されたご意見とは、いくらなんでも「栄養不足が不登校を引き起こす」といった、荒唐無稽な主張ではないでしょうね。

 そうではなく、「うつ」「元気」などの言葉が使われているところから推測すると、おそらく「栄養不足→うつ病(の結果としての不登校)」という、ご意見なのでしょう。

 まず、ビタミンDに関していえば、たしかに季節性うつ病と呼ばれる病気については、ビタミンDとの関連が指摘されています。

 しかし、これには日照時間の短い冬から春にかけて症状が現れるという特徴があります。また、重症のうつ病に関してはビタミンDの投与が有効だとする、少数の研究があります。

 しかし、これには当然にも、登校できないこと以上に、興味・喜びの減退や自殺企図といった、さまざまな抑うつ症状が伴います。こういった諸症状を見落として学校へ行かないことだけを問題視するなら、それは誤診ですし、またサプリメントだけでうつ病の治療を行なうなら、医療過誤になってしまうでしょう。

【連載】児童精神科医に聞きました
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