ADHDのある有名人・芸能人・スポーツ選手などを14人紹介!〜出典リンク付き〜
ADHD(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder、注意欠如・多動性障害)のあるお子さんは、その特性に関連して不登校になることがあります。
お子さんの今とこれからについて、そして保護者としてどう子どもに接するべきかについて、お悩みや疑問が尽きないかもしれません。
さて、芸能人や有名人の中にも、ADHDのある方はもちろんいます。
この記事では、ADHDのある有名人の方々について、ご本人の著書やインタビューなどの出典リンクとともに紹介します。(※一部、「確定診断があるわけではないものの、精神科医からそのように言われた」という方も含みます)
出典からの引用は、あえて短めにとどめています。出典元の書籍、インタビュー、動画などをご覧いただくことで、お子さんのADHDについての示唆が得られるかもしれません。ぜひ、ご覧ください(この記事は随時更新予定です)。
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目次
- 1.栗原類さん(モデル)
- 2.Fukase(深瀬慧)さん(ミュージシャン)
- 3.勝間和代さん(経済評論家)
- 4.小島慶子さん(エッセイスト、メディアパーソナリティ)
- 5.武田双雲さん(書道家)
- 6.パリス・ヒルトンさん(実業家・タレント)
- 7.カレー沢薫さん(漫画家、コラムニスト)
- 8.マイケル・フェルプスさん(競泳選手)
- 9.シモーネ・バイルズさん(体操選手)
- 10.市川拓司さん(小説家)
- 11.町田粥さん(漫画家)
- 12.沖田×華さん(漫画家)
- 13.ユージさん(タレント)
- 14.さかもと未明さん(漫画家・作家)
- 15.番外編:安田祐輔&林田絵美(キズキ取締役)
- 16. ADHDや不登校の相談先
- 17. ADHD(発達障害)の関連記事
- 18.最後に〜ぜひサポート団体にご相談ください〜
1.栗原類さん(モデル)
モデル・タレント・役者の栗原類(くりはら・るい)さん。
自伝『発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由』にて、ご自身がADDであることを語っています。ADDとは「注意欠陥障害」のことで、現在ではADHDに分類されます。
僕は発達障害のひとつADD(注意欠陥障害)です。8歳のとき、当時在住していたNY市の教育委員会で認定されました。
栗原さんは、自身について、次のように述べています(全てにADHDの特性が関係するとは限りません)。
- 小さい頃から感覚過敏だった
- 強い「こだわり」がある
- 「触感」に敏感
- 注意力散漫で忘れ物が多い
- 二つの動作が同時にできない
- 記憶力が弱い
- 感情表現が苦手、無表情に見えがち
- 人の心の動きを読み取るのが苦手
5歳で渡米して5年生で日本に帰国した栗原さん。中1のときには不登校も経験しています。
僕は学校で軽い脅しをかけられていました。小学校時代にはそんな事はなくはじめての体験。それが衝撃的に怖かったせいか、2週間ほど登校拒否になってしまいました。
同書では、栗原類さんのお母さま・栗原泉さんにもADHDがあると書かれています。
(略)精神科医と児童心理学者から、私(編注:泉さんのこと)自身が典型的なADHDであるとの意見が出て、その時は満場一致で「明らかなADHDだ」とのご意見をいただきました。
■出典紹介:
発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由(KADOKAWA)
2.Fukase(深瀬慧)さん(ミュージシャン)
バンド・SEKAI NO OWARIのメンバー・Fukase(深瀬慧、ふかせ・さとし)さんは、『ROCKIN’ON JAPAN 2012年8月号』で、自身のADHDについて述べています。
公立高校を辞めて、アメリカンスクールに通い始めたFukaseさん。約1年のスクール生活を経て、アメリカ・ボストンに留学します。
しかし、約2週間で「倒れちゃって、そのまま病院」に行きました(※)。
そしてすぐに日本に帰国し、病院に約1か月入院。そこでADHDがあることがわかります。
俺、ADHD(注意欠陥/多動性障害)っていう病気だったんです。ほとんど脳の病気なんだけど、脳の病気だからメンタルっていうのと混ざりやすくて、だから精神病だと勘違いされるんですけど、要は発達障害なんですよね。だからこそメンタルが弱ってっちゃう。
なお、Fukaseさんは、不登校も経験しています。同インタビューにて、次のように述べています。
登校拒否。なんだけど引き篭もりではないんですよ。外に出て散歩したりとか。本当になんかかぶれてたっていうか。ほんとに純粋に「なんでこんな天気いいのに学校なんか行かなきゃいけないんだ」と思うから、学校行かないで。でも昼休みに給食だけ食べに行ったりとか。でも髪の毛金髪だから、そのまま家に戻されちゃったりとかね。
不登校、高校中退、アメリカンスクール、アメリカ留学、入院、闘病生活を経て、医者を目指すようになったFukaseさん。しかし勉強はうまくいきませんでした。
そうした諸々の「諦め」を経て、「最後の賭けとして音楽を始めようと」思ったと言います。
残念ながら、この号はすでに売り切れています。ご覧になりたい方は、中古品をお探しになるか、図書館でバックナンバーをお探しください。
※この「倒れちゃって」は、別のインタビューによると「パニック」だったとのことです。(ただし、「パニック障害」という病気かどうかは、インタビューからは明らかではありません)
2年間留学するはずが、2週間でパニックになって帰ってきてしまって、その後精神病院に入ったんです。退院してから人生をやり直そうと思って受験勉強したんですけど、薬が強かったのもあって勉強が進まなくて、音楽しかやれることはないんだろうなって思って。
■出典紹介:
ROCKIN’ON JAPAN 2012年8月号(ロッキング・オン・ホールディングス)
世界の終わりインタビュー(CINRA)
3.勝間和代さん(経済評論家)
経済評論家の勝間和代(かつま・かずよ)さんは、軽度のADHDの確定診断を受けています。
子どもの頃から注意散漫で、交通事故に遭いやすく、忘れ物が多いなどの特徴がありました。
ご自身のYouTubeチャンネルで、ADHDの特性と対処法について次のように語っています。
私一応軽度のADHDということで確定診断を受けていまして、(略)多動で気が散っているんですよ。なので気をつけないと大体物事がとっ散らかりますし、つまずきますし、物を忘れますし、いろんな約束は忘れますし、大変なんですね。
集中力に関しても、もう本当に自分の集中力というのは5分10分しか続かないということを前提に組み立てるんですね。
日常生活での工夫として以下のことを行っているとのことです。
- 持ち歩くものを最小限にする
- 物を複数持つことで忘れ物の対策をする
- GoogleカレンダーなどのITツールを活用して予定管理をする
- 自分の特性を受け入れ、それに合わせた生活設計をする
- 忍耐力を要する作業は他の人に任せるなど、周囲のサポートを活用する
勝間さんは、「自分を変えるのではなくて、自分はこんなふうに変わらないっていう前提に、それでもできることをやれる仕組みを作っていく」ことが大切だと強調しています。
■出典紹介:
Q&A 勝間和代さん、ADHDだそうですが、どうやって日常をトラブルなく過ごしているのですか?(YouTube)
4.小島慶子さん(エッセイスト、メディアパーソナリティ)
エッセイスト、メディアパーソナリティの小島慶子(こじま・けいこ)さんは、41歳でADHDの診断を受けました。
幼少期から漠然とした「生きづらさ」を感じており、人間関係や社会生活での困難を経験してきました。
ADHDの特性と向き合う過程について、次のように語っています。
40歳を過ぎてから、私は不安障害の主治医によって軽度のADHD(注意欠如・多動性障害)であると診断された。その瞬間の気持ちは「もっと早く知りたかったよ!」だった。
幼稚園に上がる前くらいから、どうもお友達との関係が難しいぞと感じるようになっていました。夢中で遊んで楽しくなってくると、自分が言ったこと、やったことで友達を怒らせてしまうことが多い。
私は、41歳でADHDと診断されて、ようやく自分の特徴を…何をしても悪目立ちしてしまうこの無様な振る舞いを、受け入れることができた。傾向を知って、対策を打つことができるようになった。
診断を受けた後も、日常生活での困難は続いていますが、小島さんは「ADHDがあったからこそ、人間への理解が深まった」と述べ、特性を個性として受け入れることの大切さを説いています。
自身の経験を活かし、発達障害についての執筆・講演活動を精力的に行い、当事者と周囲の人々の理解を深める活動を続けています。
■出典紹介:
小島慶子 40過ぎてADHDと診断され自分知った(日経xwoman)
みんな複雑な要素のかけ合わせで生きている。ADHDから人間の本質を読み解く、小島慶子さんの生き方(ミモザマガジン)
■関連記事:
元ひきこもりの問い「生きることはなぜ苦しいの?」小島慶子の答えは
5.武田双雲さん(書道家)
書道家の武田双雲(たけだ・そううん)さんは、子どもの頃から衝動的な行動が多く、学校生活では時間割に合わせた準備が苦手でした。
2016年頃、武田さんは、インターネットでアインシュタインがADHDだったのではないかという記事を目にしました。
そしてADHDについて検索してみると、診断サイトのチェック項目にほとんど当てはまり、「自分の説明書のようだ」と感じたといいます。
武田さんと精神科医・岩波明さんの共著『ADHDを「才能」に換える生き方』(ビジネス社、2022年)の前書きに、次のように書かれています。
診断書をもらったりしているわけではありませんが、ADHDの特徴と言われる多動性・衝動性をふんだんに併せ持っています。また、ADHDの人が起こしやすいという対人関係のトラブルや社会的齟齬も、数限りなく経験してきました。
共著者である精神科医の岩波明先生(中略)からも「ほぼ間違いなくADHDでしょう」というお墨付きをいただくことができました。
別のインタビューでも、次のように話しています。
岩波明先生(昭和大学附属烏山病院病院長)とお会いして、「ほぼ確実にADHDでしょう」と言われました。それで、すごい気が楽になったんですよ。
また、ADHDの特性について次のように語っています。
ぼくは、ADHDの多動性、衝動性を強くもっています。こうしていても、体が止まらないです。今も足が動いている。ずっとどこか動いていますね。
衝動的に何かをやろうとするんですよ。突然、ジャンプしたり、突然、変顔をしたり、自分で思ってもないことを言ったりするんです。それが面白いって言ってくれる人もいるし、怒らせてしまうこともある。
子どもの頃は危険な行動も多く、目をつぶって歩いて怪我をしたり、ストーブの上に座って大やけどをしたりしました。学校生活では友人関係にも苦労し、野球部では空を見上げてボークを繰り返すなど、ADHDの特性による困難を経験しています。
大学卒業後、会社員として働いていた時期に、電話のメモを毛筆で書くようになり、それがきっかけで書道家として独立。現在は、ADHDの特性を活かしながら、アーティストとして活動しています。
■出典紹介:
ADHDを「才能」に換える生き方(ビジネス社、2022年)
[書道家 武田双雲さん](上)ADHDとわかって気が楽になった…(ヨミドクター)
6.パリス・ヒルトンさん(実業家・タレント)
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実業家・タレントとして知られるパリス・ヒルトン(Paris Whitney Hilton)さん。
大人になってからADHDと診断されたことをきっかけに、その経験を音楽で表現し、SNSで発信しています。
Being diagnosed with ADHD as an adult was a life-changing moment for me, and I wrote my song ‘ADHD’ to capture that experience.
大人になってADHDと診断されたことは、私にとって人生を変える瞬間でした、そして私はその経験を表現するために自分の曲「ADHD」を書きました
Whether you’re navigating ADHD or any other mental health challenge, I hope my music helps you feel seen and supported.
あなたがADHDやその他の精神的健康上の課題に直面している場合でも、私の音楽が、あなたが「理解され、サポートされている」と感じられる手助けになるよう望みます。
Mental health is so important, and we need to keep breaking down the stigma together.
メンタルヘルスはとても重要であり、私たちは一緒に偏見を打ち破り続ける必要があります。
■出典紹介:
parishilton(Instagram)
7.カレー沢薫さん(漫画家、コラムニスト)
漫画家のカレー沢薫(かれーざわ・かおる)さんは、ADHDとASDの診断を受けています。会社員時代から集中力が続かず、人間関係でも困難を感じていた経験から、診断を受けることになりました。
著作に、発達障害の診断を受けるまで、そして受けてからのことを描くコミックエッセイ『なおりはしないが、ましになる』(小学館、2021年)があります。
同書にて、診断を行ったメディカルケア虎ノ門の五十嵐良雄さん(同書の医療監修者でもあります)は、次のように書いています。
カレー沢さんは軽度なADHDにASDが合併していると診断されましたが、特に軽度の方ではこの合併はよくみられます。
なお、ASDについては「傾向あり(グレーゾーン)」であるとも表現されています。
カレー沢さん自身は、次のようなことを述べています。
(ADHDの特性を緩和するクスリを飲んだことによって)作画など(中略)仕事の効率はかなり上がる
別のインタビューでは、発達障害の診断を受けての変化について次のように語っています。
発達障害であるとわかって、「自分ができないこと」を、受け入れることができるようになりました。それまでは、自分の「できないこと、不得意なこと」に対して、「頑張ればできるようになる」と思っていました。でも「良くなるにしても、得意になることはないのだ」とわかって、ハードルが下がったというか…。
「頑張っても、苦手なことは、できるようにはならないけれども、工夫をすれば良くなる」ということもわかって、「こうすればできる」「やろうと思えばできる」ということを知りました。
主な経験としては以下のようなものがあったそうです。
- 子供の頃から自分の世界に入り込み、人の話を聞けない
- 会社勤めの時は集中力が続かず、仕事が進まない
- 独立後も集中できず、漫画制作に困難を感じる
- 診断後、自己肯定感が増し、工夫次第でできることを実感
■出典紹介:
なおりはしないが、ましになる(小学館)
漫画家・カレー沢薫さんに聞く大人の発達障害 「診断を受けて自己肯定感が高まりました」(日経Gooday)
8.マイケル・フェルプスさん(競泳選手)
オリンピック競泳で金メダル23個を含む計28個のメダルを獲得し、世界最多のメダリストとして知られるアメリカのマイケル・フェルプス(Michael Fred Phelps)選手。
「Child Mind Institute」が運営するYouTubeチャンネルで、ADHDに関する経験を語っています。
I’m Michael Phelps. I’m an Olympic champion and I have ADHD.
私はマイケル・フェルプスです。オリンピックチャンピオンで、ADHDがあります。
Growing up, I was somebody who was always constantly bouncing off the walls. I could never sit still.
「子どもの頃は、いつも壁にぶつかって跳ね回っているような人間でした。じっと座っていられない人間でした。
I had kids who we were all in the same class and teachers would treat them differently than they would treat me. I had a teacher tell me that I would never amount to anything and I would never be successful.
先生は、同じクラスの子どもたちと私で、違う態度で接しました。私は先生に、「決して何者にもなれないし、決して成功することはない」と言われました。
そしてマイケルさんは、「人の助け」について、次のように語っています。
I think the biggest thing for me, once I found that it was okay to talk to somebody and seek help… I think that’s something that has changed my life forever. And now I’m able to live life to its fullest.
私にとってもっとも大きな変化は、誰かに話して助けを求めても大丈夫だと分かったことです。それは私の人生を永遠に変えたと思います。そして今、私は人生を存分に生きられるようになっています。
■出典紹介:
ADHD and What I Would Tell #MyYoungerSelf | Michael Phelps(YouTube)
9.シモーネ・バイルズさん(体操選手)
— Simone Biles (@Simone_Biles) September 13, 2016
リオオリンピックで5個のメダル(金4個)を獲得し、大会を圧巻したアメリカの体操選手シモーネ・バイルズ(Simone Arianne Biles)選手。
サイバー攻撃によって、その医療記録が流出しました。(参考記事:平昌五輪を、さらなるサイバー攻撃が襲った マルウェア「Olympic Destroyer」の正体(産経新聞))
流出した記録では、19歳のバイルズ選手がADHD治療薬(メチルフェニデート)を使用していたことが明らかになりました。
一部から、服薬による競技上の優位性について疑問の声が上がりましたが、アメリカ体操協会や国際体操連盟は、バイルズ選手の薬の使用を正式に承認していました。
バイルズ選手はその後、X(当時はTwitter)に次のような投稿をしています。
I have ADHD. I’ve taken medicine for it since I was a kid. Please know I believe in clean sport, have always followed the rules,(略)
私にはADHDがあります。子どもの頃から薬を飲んでいます。私はクリーンなスポーツを信じており、常にルールに従っていることを知ってください。
Having ADHD, and taking medicine for it is nothing to be ashamed of nothing that I’m afraid to let people know.
ADHDがあり、そのための薬を飲んでいることは、恥ずかしいことでも、人に知られるのが怖いことでもありません。
■出典紹介:
USA Gymnastics(X)
Simone Biles(X)
Simone Biles(X)
10.市川拓司さん(小説家)
『いま、会いにゆきます』(小学館、2003年)などのベストセラー作家として知られる市川拓司(いちかわ・たくじ)さん。
週刊誌によるインタビューのときに、「アスペルガー(ASD)のひとが使うワード(時間、記憶、夢)が頻発している」ということで診察を勧められたということです。そのときのことを、著書『発達障害だから強くなれた ぼくが発達障害だからできたこと』(朝日新聞出版、2016年)の中で、次のように語っています。
すぐに勧められたメンタルクリニックを受診しました。いくつかの問診があり、そのあとで先生は、「典型的なアスペルガーの症状を示しているけど、市川さんはこんなふうに社会的にも成功しているから、とくに診断書を書いたりはしませんよ」と言いました。ぼくも、自分が何者なのか知りたかっただけなので、それで充分です。それよりも欲しいのは情報。だから、かなりしつこく訊ねたように思います。
この少しあとに、日本LD学会の上野一彦先生が、ぼくのエッセイ『きみはぼくの』を読んで連絡を下さるんだけど、先生は『市川さんは、ADHD(注意欠陥:多動性障害)とアスペルガーの混合タイプで、ややADHDが強めなんじゃないかな』っておっしゃってました。
幼少期から落ち着きのなさが目立ち、小学校3年生のときの担任からは「31年の教師生活の中で一番手がかかる子どもだった」と言われています。
- 授業中、席に座れず教室の床をほふく前進する。
- 朝礼台に飛び乗ってダンスを踊る。
- 学校から外に出て、毎日10kmほど走り回る。
そうした行動の一方で、想像力が豊かで、中学時代には国語の授業中に原稿用紙20枚の物語を書き上げるなど、創作の才能を発揮していました。
市川さんは、別のインタビューでは、次のように話しています。
結果として自分に良いことであれば、周りから見れば逃げているように見えても、自分の中では逃げているという気はありません。無理して自分とは全然違う土俵でたたかい続けても、自分にとっては何もいいことはないので、自分の得意なところとか自分が居心地が良いところにどんどん移っていく。
■出典紹介:
発達障害だから強くなれた ぼくが発達障害だからできたこと(朝日新聞出版)
ADHDの僕を叱る代わりに両親が大事にしたこととは(日経xwoman)
きょうの健康 あの人の健康法「市川拓司」(NHK)
11.町田粥さん(漫画家)
漫画家の町田粥(まちだ・かゆ)さんは、自身の経験を基に、発達障害についてのコミックエッセイ『発達障害なわたしたち』(祥伝社、2023年)を執筆しています。
同書で、次のように語っています。
私自身は(略)軽度のADHDと診断されています
ちなみに、同作の編集者である「K成」さんも、「私もADHDを受けています」と描かれています。
別のインタビューでは、発達障害の診断を受けたときの心境について次のように語っています。
自分が発達障害だと言われたら、いろんなリアクションがあると思うのですが、私はショックや動揺ではなく「面白い!」と思ったんですよね。劣等感に繋がっていた部分を説明できるようになって救われもしたので、そういう気持ちになれる人はほかにもいるはずだと思いました。
町田さんは、発達障害への理解について次の点を重視しています。
- 当事者それぞれの感じ方を尊重する
- 周囲の理解や配慮が困りごとの軽減に重要
- 正しい知識を持つことで適切な接し方ができる
- 偏見をなくすための丁寧な説明が必要
自身の経験を活かし、当事者へのインタビューを通じて発達障害についての理解を広げる活動を続けています。
■出典紹介:
発達障害なわたしたち(祥伝社)
大人の発達障害についてポジティブに考えるきっかけに! 町田粥の初コミックエッセイ(ananweb)
12.沖田×華さん(漫画家)
漫画家の沖田×華(おきた・ばっか)さんは、小学生の頃に学習障害(LD)、ADHD、アスペルガー症候群の診断を受けています。
発達障害の特性に由来する日常生活でのあれこれを描いたコミックエッセイである著作『毎日やらかしています アスペルガーで、漫画家で』(ぶんか社、2012年)で、次のように述べています。
そしてアスペルガー症候群(AS) 学習障害(LD) 注意欠陥/多動性障害(AD/HD) などの発達障害を持っています
別のインタビューでは、子どもの頃から学校生活での困難を経験した自身のことを、「タヌキの子」と表現しています。
タヌキが人間の子どもに化けて、一生懸命、人間のルールを覚えようとしている感じです。真似はできるのですが、人間のルールを根本的に理解していないので、的外れなことになっちゃって、外から見るとすごく目立っていた。
「皆と同じように頑張ってやろうとしているのですが、10分の1もできていない。そんな状態が発達障害だと思います。」
学校生活での主な困難は以下のようなものがあったそうです。
- 極端な忘れ物の多さ
- 先生の指示が理解できない
- 周囲の音が気になって集中できない
- 友人関係の築き方がわからない
沖田さんは、周囲の大人に対して「今日はうまくいかなかったね」という言葉をかけてほしかったと述べ、「ダメ」という否定的な言葉ではなく、できなかったことを認めた上で受け入れる姿勢が必要だったと語っています。
■出典紹介:
毎日やらかしています アスペルガーで、漫画家で(ぶんか社)
沖田×華氏「発達障害の私はタヌキの子。人間になりたかった」(日経ビジネス)
13.ユージさん(タレント)
4人の子どもを育てるパパでもある、タレントのユージさん。
インタビューにて、自身のADHDについて述べています。
実は僕自信がADHDと診断された凸凹の子どもでした。忘れ物をたくさんしたり、同じ場所に座っていられなかったり、すぐ手でリズムを刻み出してしまったり。学校から呼び出される事もたくさんありました。
そしてある程度歳を重ねてADHDという事がわかって、お母さんもだいぶ楽なったし、もっと早く知りたかったと言っていました。
■出典紹介:
ユージ、ADHDと診断された子ども時代…母からの“愛”を4人の子どもたちへ【『リエゾン』特別インタビュー】(ORICON NEWS)
14.さかもと未明さん(漫画家・作家)
漫画家・作家のさかもと未明(さかもと・みめい)さんは、医者の星野仁彦さんとの共著『まさか発達障害だったなんて 「困った人」と呼ばれつづけて』(PHP研究所、2014年)にて、自身のADHDについて述べています。
(星野さんがさかもとさんに)ADHDとアスペルガー症候群が混合していると思われます。
(星野さんの執筆部分)(略)おそらくはADHDの傾向もあるASDであろう」という診断結果を私はさかもとさんに伝えたわけです。
また、さかもとさんは、不登校も経験しています。
(星野さんの執筆部分)(略)不登校にもなっていたさかもとさんは、「私、絶対、病気だと思う。精神病院に行きたい」とお母さんに相談したそうです。しかし、母親から返ってきたのは、「精神病だなんて冗談じゃない」「みっともないから病院に行かなくていい」「苦労を知らないからそんな贅沢が言えるのよ。贅沢病よ」という言葉でした。
この書籍では、さかもとさんが発達障害の特性などとともにご自身の人生やご家族との関係を振り返るパートと、星野さんが診察の様子を振り返ったり、発達障害の特性についてのアドバイスを述べたりするパートが交互に掲載されています。
星野さんは、あとがきの部分で次のように述べています。
(略)発達障害の人の多くは、適切な支援を受ければ十分に社会に適応して、うまくやっていけます。
■出典紹介:
まさか発達障害だったなんて 「困った人」と呼ばれつづけて(PHP研究所)
15.番外編:安田祐輔&林田絵美(キズキ取締役)
有名人・芸能人ではありませんが、番外編として、不登校オンラインを運営する株式会社キズキの創業者・代表取締役の安田祐輔(やすだ・ゆうすけ)と、取締役の林田絵美(はやしだ・えみ)を紹介します。
安田と林田は、ともに大人になってからADHDとASDの診断を受けています。
安田は、自伝『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由』にて、発達障害や不登校についての経験を語っています。
大人になってから分かったことだが、僕は軽度の「発達障害」があったらしい。
どのクラスにも一人はいたであろう何をやってもドンくさく、周りから常に馬鹿にされている子ども。僕はまさにそういう子どもだった。
また、発達障害のある方々のための著書『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本』もあります。
林田は、インタビューにて、次のように語っています。
転機となったのが、監査法人入社1年後に、発達障害(ADHD)の診断を受けたことです。仕事でのミスの連続で、罪悪感で精神的に追い込まれ受診しました。自分の欠点を全て分かった上で選んだ「公認会計士」という職業だったので、「これでもダメだったか」という悔しい気持ちでいっぱいでした。ただ診断を受けたこと自体は、それまでの人生で「なんか人と違うぞ」と感じていた要因が徐々に解明されていったり、発達障害用の薬の服薬で仕事がやりやすくなったりしたので、結果的にポジティブな出来事でした。
私自身が16年にADHD(注意欠如・多動症)と診断されたことです。
小学生の頃からよくわからない「生きづらさ」を感じていました。一斉に同じ行動をさせられる環境になじめず、忘れ物や落とし物は多い。先生にはよく怒られ、通知表には「全然授業に集中できていない」と書かれました。中学校では、椅子の後ろを蹴られたり物を隠されたりするいじめに遭い、他人が怖くなってしまいました。
■出典など紹介
暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由(講談社)
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(祥伝社)
林田絵美(はやしだえみ) | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介(CPAコンパス)
発達障害者の就労支援を立ち上げ 当事者・林田絵美さんの進路(朝日新聞)
16. ADHDや不登校の相談先
ADHDと不登校について相談できるところはたくさんあります。以下に例を紹介します。ぜひ、ご相談ください。
■ADHDについての相談先
- 発達障害の専門家がいる医療機関(小児神経科・精神科、発達外来など。近くに小児精神科・精神科がない場合や、それらに抵抗がある場合には、かかりつけの小児科医に相談しましょう)
- 小児科
- 学校の担任
- スクールカウンセラー
- 市区町村役所の子育て相談窓口
- 地域の保健センター、子育て支援センター、児童相談センター
- 発達障害支援センター
- 発達障害や不登校の親の会
- 民間の発達障害支援機関
- 発達障害のある子どものサポートを行う学習塾
■不登校についての相談先
記事「不登校のサポート団体・専門家(相談先)の例と探し方を紹介します」をご覧ください。
■そのほかの相談先
Webページ「お悩みのあるあなたのために、相談先一覧をまとめて紹介します」をご覧ください。(リンク先は、不登校オンラインと同じく株式会社キズキが運営する個別指導塾・キズキ共育塾のウェブサイトです)
17. ADHD(発達障害)の関連記事
不登校オンラインとキズキ共育塾の、ADHD(発達障害)に関連する記事を紹介します。ご興味があるものを、ぜひご覧ください(不登校が関係しない記事もありますが、きっとお役に立つはずです)。
■不登校オンライン
「ADHDと不登校」の概要・総論を紹介します
タイトルどおり、ADHDそのものの概要と、不登校との関係の総論について紹介する記事です。次のようなことをお伝えします。
- ADHD(注意欠如・多動性障害)とは、発達障害の一種
- ADHDの診断は医師だけが可能
- ADHDの医学的な診断基準
- ADHDの特性への3つの対応方法
- ADHDは、生まれつきのもの
- いわゆる「大人のADHD」とは
- いわゆる「グレーゾーン」とは
- ADHD以外の発達障害
- 「不登校のわが子にADHD(発達障害)がある」とわかって安心する保護者は少なくない
- ADHD(発達障害)が確定することを不安に思う方も
- ADHDと不登校の関係
■キズキ共育塾
- ADHDと不登校の関係性 親ができる対応を解説
- ADHDのある中学生の子どもがいる親御さんへ 勉強のコツや学校生活の注意点を解説
- ADHDのある人に向いてる学習塾 塾選びのポイントを解説
- ADHDのある子どもに親ができる受験対策 有効な勉強法を解説
- ADHDのある子どもが集中できる勉強法 ADHDのある子どもと関わる際のポイントを解説
- 発達障害の子どもの不登校 関連性や親ができる対策を解説
- 発達障害のあるお子さんに親ができる8つのサポート 代表的な困りごとや支援機関を紹介
- 発達障害グレーゾーンの子どもとは? 年齢別の特徴や伝え方のコツを解説
- 発達障害のある子どもにオススメの学習塾 塾選びのポイントを解説
- 発達障害のある人の進路 小学校・中学校・高校別に進路選択のポイントを解説
- 発達障害のある子どもの中学受験 メリット・デメリット、確認事項を解説
- 発達障害グレーゾーンのある中学生に親ができる対応5選 勉強のためにできるサポートを解説
- 発達障害のある中学生の「勉強についていけない」を解決する勉強法
- 発達障害のある子どもの高校受験 親にできるサポートを解説
- 発達障害の子どもが大学受験するときの確認事項・サポート方法
- 発達障害のある人に手厚い大学とは? 見極めるポイントや支援内容を解説
- 「発達障害のある、勉強嫌いな子ども」がいる親ができる対応6選
- 「発達障害のある、不登校で勉強しない子ども」に親ができる勉強サポート法
- 「発達障害のある、勉強についていけない子ども」のために親ができる8つの対応
18.最後に〜ぜひサポート団体にご相談ください〜
以上、ADHDのある有名人・芸能人・スポーツ選手を、出典とともに紹介しました。参考となったなら幸いです。
ADHD(発達障害)のとらえ方は人それぞれです。しかし確実に言えることは、「ADHDの特性や不登校についてサポートを行う人たちがたくさんいる」ということです。
不登校についても、ADHDについても、保護者だけ、家庭だけでお悩みを抱え込まず、ぜひ積極的にサポート団体に相談してみてください。
■初回掲載:2024/11/27
■更新履歴:2024/11/28(さかもと未明さん、ユージさんを追加)