理由を求める私たちに警笛、わかりにくいのが人間ですよ
今回インタビューしたのは、フリーライター・武田砂鉄さん。武田さんは『わかりやすさの罪』などの著書を通じて「わかりやすいメッセージ」が持つ危うさについて発信している。なぜ「わかりやすい」ことが危ういのか、お話をうかがった。
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――私には不登校の経験があるのですが、先生から何度も不登校の原因を聞かれました。しかし、わかりやすい説明ができず、つらい思いをしてきました。
人って、わかりやすい理由を見つけることで安心するんですよね。子どもの不登校の原因を、「〇〇だから登校しない」というわかりやすい理由に絞り込み、先生はそれをどうにかしようとする。先生にとっては、ほかの子が不登校にならないための改善策なのかもしれませんが、子どもからすれば複数の理由があるかもしれないし、言葉の奥にある本心を先生が取りこぼしているかもしれない。わかりやすい理由のみがすくい上げられて、ほかの理由が排除されているとしたら、暴力的なことです。