働くことがずっと怖かった私が見つけた「楽しく働くための条件」

連載「仮説なんですが…」vol.51

 約10年前、私は統合失調症という病気になった。ご存じの方も多いだろうが、現在の医学では治りにくい、やっかいな病気だ。症状の程度や中身は人それぞれで、私の場合、頭がうまく働かなくなって、たとえば「6+7」のようなかんたんな足し算ができなかったり、子ども向けの漫画のストーリーが難しすぎてわからなかったりした。「このまま一生治らない」、そんなふうに考えて絶望とともに日々をすごしていた。

 当然、働くことなんて考えられない。どうやったら自分がこの先、生きていけるか、わからなかった。すべてを失ったと思った。希望がほしくて、統合失調症の数学者ジョン・ナッシュの半生を描いた映画なんかも見たけれど、感想としては「なんだかんだで生きていられて、私よりもぜんぜんマシじゃないか、こんちくしょう」と思ったのを覚えている。

 働くということが私はずっと怖かった。何度バイトをしても仕事ができない。叱責が怖くて続かない。聞こえよがしに嫌味を言われたり、客のいないところで怒鳴られるなんてざらだった。だから、学生時代から、就職して働くことは自分には無理なんじゃないかとずっと不安を抱えていた。

【連載】仮説なんですが
記事一覧

関連記事

登録から30日間無料!ゲーム依存、昼夜逆転、勉強の話、子どもにしてもいいの…?疑問への「答え」が見つかるウェブメディア 不登校オンライン お試し購読はこちら