不登校のその後、多くの人が歩む人生はなにか
子どもが不登校になると、「この先どうなるのだろう」「将来、社会に出られるのだろうか」と不安になる保護者は少なくありません。
しかし、不登校のその後の人生は、一人ひとり異なります。そして実際には、多くの不登校経験者が、それぞれの悩みや喜びを抱えながら、自分なりの人生を歩んでいます。
今回は、不登校経験者への取材を通して見えてきた「不登校のその後」について、不登校ジャーナリストの石井しこうさんがお伝えします。
新年度や連休明けは、学校への行きしぶりや不登校が増えやすい時期です。そんなとき、多くの人に知ってほしいのが「不登校のその後」です。
名古屋市内の不登校支援に携わる30代の男性は、幼稚園から小学校低学年にかけて、登園拒否や不登校を経験しました。きっかけは、幼稚園職員から受けた暴言でした。
保護者は、登園や登校を強く迫ることなく、本人の成長を見守りました。不登校の期間に通い始めた塾で勉強に関心を持つようになり、その後、現役で東京大学に合格。現在は大手企業で働きながら、不登校の子どもたちの支援にも携わっています。
彼のように、不登校を経験しても、すこやかに大人になることはできます。
私がこれまで取材した人のなかにも、タレント、芸術家、漫画家、会社員、システムエンジニア、サッカー選手、保育士、国会議員など、さまざまな仕事に就いた不登校経験者がいました。
もうひとり思い出深い不登校経験者の女性(40代)がいます。彼女は中学生のときに不登校になり、10代後半のころには、将来の夢を「お嫁さん」と話していました。
その後、彼女は2度の離婚を経験し、3人の子どもの母親になりました。当時の夢を今はどう思っているのか尋ねると、笑いながらこう答えました。
「そんなこと言ってたかな(笑)。でも、子どもたちからは幸せをもらっています」
多くの不登校経験者は、彼女のような人生を歩んでいます。10代のころに思い描いたとおりの人生ではないかもしれません。しかし、不登校の渦中で絶望したほど、暗い人生でもありません。あえて言えば、それは「ふつうの人生」です。
もちろん、「ふつう」とは、苦労がないという意味ではありません。悩んだり、つまずいたりする一方で、人との出会いや思いがけない機会に喜びを感じることもあります。
親は、子どもが心配だからこそ、口を出したり、お金を出したりして支えようとします。ただ、それが子どもの助けになったのか、重圧になったのか、そもそも親の言葉を聞いていたのかは、すぐには分かりません。
不登校であっても、そうでなくても、親子関係とは、案外そのようなものではないでしょうか。
親にできるのは、子どもの人生を先回りして決めることではなく、隣にいて、一緒に歩いていくことです。
迷いや不安を感じたときには、私たちのLINEオープンチャット「不登校の親ネット」や、各地の親の会を訪ねてみてください。同じ経験をしてきた人との出会いが、きっと助けになるはずです。



