いじめがもっとも多いのは「小学2年生」
いじめというと、中学生や高校生を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際には、文部科学省の調査では、小学校低学年、とりわけ小学2年生で多く認知されています。
では、なぜ低学年で多いのでしょうか。そして、低学年のいじめには、どのような特徴があるのでしょうか。
今回は、統計データと取材で出会った事例をもとに、小学校低学年のいじめについて、不登校ジャーナリストの石井しこうさんがお伝えします。
いじめがもっとも多く認知されている学年は、何年生だと思いますか。
答えは、小学校2年生です。
文部科学省の調査によると、いじめの認知件数は、小学校1年生から3年生までの低学年が上位を占めています。2010年代半ばまでは中学校1年生が多い傾向にありましたが、近年は小学校低学年で多く、学年が上がるにつれて減っていく傾向が見られます。
低学年でいじめの認知件数が多い背景には、いくつかの理由が考えられます。
一つは、いじめの行為が比較的単純で、大人が発見しやすいこと。もう一つは、以前よりも、ささいに見える行為までいじめとして把握し、報告するようになったことです。
しかし、現場で取材を続けていると、小学校低学年であっても、いじめが単純とは限らないことが分かります。誰がしたのか分からないように仕組まれた、巧妙で深刻ないじめもあります。
小学校2年生の女の子を育てる母親は、娘が「加害者の分からないいじめ」に苦しんでいたと話します。
ある日、クラス全員が教室を離れて校舎内で授業を行い、全員で教室に戻ってくると、黒板に「○○ちゃん、死ね」と書かれていました。
クラスの誰かが書いたはずなのに、誰が書いたのかは分かりません。そのほかにも、靴や体育着などの持ち物を隠されましたが、やはり加害者は分からないままでした。
女の子は、こうした「見えないいじめ」に苦しみ、やがて学校へ行けなくなったそうです。
ある男性も、小学校2年生ごろからいじめを受けていました。
「存在しない人のように扱われ、物を隠されたり、身に覚えのないうわさを流されたりした」と話します。
このほかにも、足が遅い子を投票でリレーのアンカーに選ぶ、本人が嫌がっているのに学級委員を押しつけるといった事例を聞きました。一見すると「みんなで決めたこと」に見えても、本人を困らせたり、笑いものにしたりする意図があれば、いじめになりえます。
小学校低学年だからといって、いじめが幼稚で分かりやすいとは限りません。子どものすることだから、大人なら簡単に見抜けると思い込むべきではないのです。
いじめは、もはや中学生や高校生だけの問題ではありません。小学校低学年の子どもと、その保護者にとっても、身近で深刻な問題になっています。
低年齢のいじめで特に注意したいのは、周囲の大人が被害を軽く見てしまうことです。
「子ども同士のことだから」
「悪ふざけにすぎない」
「まだ低学年なのだから、深刻ないじめではない」
そう判断している間に、子どものSOSを見逃してしまうことがあります。
年齢にかかわらず、本人が傷つき、苦しんでいるなら、その訴えをていねいに受け止める必要があります。




