「学校に行かなくても、遊びに来てね」不登校の娘と私を救った学童の言葉
小学校への登校初日、教室に入れず、廊下で泣き叫んだ娘。「学校に行けるのだろうか」「仕事はどうしよう」。母親の徳倉さんは、戸惑いと不安を抱えながら、娘と帰宅しました。
その後、欠席を伝えるために電話した学童で、思いがけない言葉をかけられます。先の見えない不安の中で、徳倉さんの心をほどいたやり取りを、ご寄稿いただきました。
入学式翌日。帰りたいと泣く娘
娘が小学校1年生になった春。入学式翌日の朝。教室の前から動かず、しまいには走って逃げて廊下で寝転び泣き叫ぶ娘。
私の頭の中は、朦朧としています。落ち着いてきたところで娘を起こします。
「家に帰りたい。家に帰りたいよ〜」
泣きながら娘は訴えます。
「そうだね。今日は、もう帰ろう。帰ろうね」
しばらく娘を抱きしめます。
教室に顔を出し、先生に伝えました。
「先生、今日はもう難しそうだから、これで帰りますね」
「そうですか。わかりました。頑張って学校まで来たね。じゃあね、また明日ね」
娘は何も答えません。
家に帰りテレビをつけました。
「お母さん、ちょっと電話してくるから、待ってて」
娘は椅子に座り、ボーッとテレビを見ています。
娘には聞かれないように玄関から出て、外で夫に電話をします。
「どうだった?」
「あのね、学校まで行くことは行ったんだけど、教室に入れなくて。ちょっと強引に教室に入ろうと思ったら、泣き叫びながら廊下を走って行っちゃった。それで寝転んで泣き叫んでて、どうにもならなくて帰ってきたの」
「え!?教室にも入れなかったの?」
「そう。どうしよう。学校に行けるのかな。職場には、これから相談の連絡をするけど。学童にも電話しないと。とりあえず今日は休むとして、学童って、学校に行ってなくても行けるのかな?」
「わかんないね」
「電話してみるね」
学校に行けなくても、遊びに来て
放課後は、学童に通う予定になっていた娘。
そのまま学童に電話をしました。
「お世話になります。あの、今日の学童なのですが、お休みします」
「わかりました。えーっと、何かありましたか?」
今日の出来事を説明しました。話しているうちに、涙が溢れてきそうになります。
「そうですか。大変でしたね。あの、もしもですよ。もし、この後も学校に行けなくても、学童には遊びに来てくださいね。もちろん、娘さんの負担にならない程度でいいので」
「え!いいんですか?」
「もちろんです。学校に行かないからって社会とのつながりがなくなっちゃうのも何ですし、学童は良いように使ってください」
「学校に行ってないと学童って行けないんじゃないかと思って。本当にいいんですか?」
「はい。もちろんです。学校にちょっと行った後とか、学童に顔出しに行こうかって感じで来てもらってもいいですし、お仕事とかの都合もあるでしょうし、可能なかぎり、柔軟に対応していきたいと思いますので」
涙が込み上げてくるのを悟られないようにしながら、伝えます。
「ありがとうございます」
「お母さん。今までも不登校の子って結構いて、その度に同じように対応してきたので、全然、気にしないでくださいね」
電話を切り、涙が流れてきます。
少しの間、外を眺め、深呼吸をして家に入ります。
「お腹空いたでしょ!何か食べよっか!」
「うん!」
少し落ち着いた娘の元気な声が聞こえてきます。
「おやつの時間じゃないけど、なんか食べちゃおう!」
「え!?いいの?」
「いいの、いいの!だって、今日、すごく頑張ったでしょ!」



