学校復帰が招く最悪の事態。過剰適応に潜むリスクとは:依存症治療の第一人者・松本俊彦先生に聞く【依存と不登校】
不登校になった子どもが再び学校に通えるようになることを、「回復」と捉える人は少なくありません。しかし、本人が苦しさを抱えたまま、周囲の期待に応えようとして学校に戻ることが、本当に望ましいのでしょうか。
松本俊彦先生は、学校復帰を第一の目標にすることにはリスクがあると指摘します。その一方で、学校に行かないことで失われやすいものを補い、「不登校によるダメージを最小化する」という考え方も必要だと話します。
第3回では、学校復帰と過剰適応の問題、不登校の間にも学習の機会を確保する意味、そして「小中学校でコケても全然問題ない」と松本先生が考える理由を伺います。
学校復帰という前提の危険性
――不登校に対する支援・サービスについて伺います。
私たちキズキ共育塾は、「学習とメンタルのサポート」を提供価値としています。「復学(学校・クラスへの登校の再開)」については、生徒さんがそう望むならその方向性のアドバイスを行いますが、私たちとしては積極的には意識していない観点です。
一方で、お子さんの意思とは関係なく、「復学」をゴールにしているサービスもあります。強制的に復学させることには、ある種の怖さがあるというのが正直なところです。
「復学」をゴールにすることについて、松本先生はどういうふうに捉えられますか?
松本:不登校をしている子どもたちの「学校復帰」に関して、いろんな機会でよく言わせてもらっていることがあります。エビデンスとして胸を張って言えるレベルのものではないんですけれども。
私は昔、自殺既遂者(※)の実態調査をしたことがあります。亡くなったご本人からは話を聞けないので、一番身近にいたご遺族の方を情報源として細かく調べていたんですね。
(※自殺既遂者とは:自殺を試みて、実際に亡くなった方のこと)
そのときに、比較的若年で亡くなった方たちにターゲットを絞って、小中学校での生活などを情報収集したんですが、結構みんな不登校を経験しているんです。
逆に言えば、不登校というのはさまざまな生きづらさのサインでもあるし、もしかすると自殺リスクが高い子たちなのかもしれないなと思いました。
そして、自殺既遂者の方の多くは、不登校からの学校復帰をしていたんです。「えっ?」と思いました。
我々は精神科臨床の現場で不登校になっているお子さんたちを見ることがありますが、大体は学校復帰をしていないんですよ。



